狩猟免許を取る人が増えても狩猟を継続する人はわずか
実は、日本の狩猟者免許試験合格者数そのものは増加しています。1万人を下回る年が長く続いていましたが、2010年に1万を突破。その数は1万7,000程度まで拡大しました。
狩猟に関連する情報にアクセスしやすくなり、取得するハードルが下がったことが背景にあるのでしょう。
※農林水産省「狩猟免許の新規取得者数の推移」より
ただし、実際に狩猟を行っている人の数はほとんど変化していません。
下のグラフは狩猟者登録者数の推移です。長い間、登録者数は13万人後半で横ばいが続いているのがわかります。
※農林水産省「狩猟免許の新規取得者数の推移」より
狩猟は狩猟免許を取得した後、各都道府県に狩猟者登録を行い、決められた方法とエリアで行わなければなりません。つまり、狩猟者登録をしている人の数が、実際に狩猟を行っていることを表しています。興味本位で狩猟免許を取ったとしても、継続的に狩猟を行う人は少ないのです。
狩猟者の中でも、大物猟を行う人の数は更に絞り込まれます。ましてやクマ撃ちに必要な技術と経験を備え、火力のあるライフル銃を扱えるハンターは多くありません。
もし、クマの被害が中長期的に深刻なものとなり、駆除する人の数が足らないのであれば、免許を取得する人の数を増やすだけでなく、狩猟を継続できる環境づくりが欠かせません。
そのために国内トップの猟銃メーカーであるミロクは、銃の普及に向けた取り組みをしても決しておかしくはありません。しかし、銃への規制や拒否反応が強い日本では、やはり現実的ではないでしょう。
アーバンベアの急増で注目される国内猟銃メーカーは今後も技術力を磨き、アメリカ市場でシェアの拡大を目指すことでしょう。
取材・文/不破聡