2023年はクマの出没情報が例年にないペースで増加しています。
環境省によると、2023年の秋田県のクマの出没情報は10月までで3,000件。昨年は通年で730件でした。岩手県も今年は5,158件で、倍増しています。東京都では、奥多摩町だけでなく八王子市や町田市でも目撃情報が出ています。
2023年10月まで(暫定値)のクマの駆除(捕殺)件数は6,287。昨年は3,755でした。
クマは多くの場合、罠か猟銃で駆除します。日本で猟銃を製造販売している数少ないメーカーがミロク。その収益構造と猟銃の売れ行きについて解説します。
アーバンベア問題で注目される猟銃メーカー
淘汰と再編が進んだ日本の猟銃メーカー
ミロクの歴史は古く、創始者・弥勒蔵次氏が猟銃の生産を開始したのは1893年でした。終戦直後は日本での銃器製造が禁じられていたため、クジラを捕獲するための捕鯨砲の製造で会社を存続させていました。
1951年に銃器の製造が解禁され、猟銃の生産を再開します。
1980年に狩猟者として登録していた日本人は43万2,000人。現在は13万人ほどしかいません。かつての日本では、狩猟がメジャーとはいかなくとも、比較的広く行われていた文化・スポーツでした。
しかし、猟銃を使った事件が重なるにつれて規制を強化したため、所持者が減少。需要が失われます。
ミロクは1977年に山本鉄砲製作所を買収するなど、銃業界の再編が進みました。同じころ、拳銃ニューナンブM60で有名な新中央工業は、ベアリングのミネベアミツミに吸収合併されています。
ミロクがユニークなのは、アメリカの銃器メーカーとして有名なブローニング・アームズ向けのOEM製造を行っていること。1966年から散弾銃を供給しています。
2013年にオバマ元大統領が、射撃を楽しんでいる自身の写真を公開しました。このとき使われていた競技用の上下二連銃がブローニングのシトリというモデルであり、ミロクが製造したものです。ミロクの猟銃は本場アメリカでも支持される技術力の高いものです。
2009年に国内の競合会社だった新SKB工業が業務を停止。現在、国内で猟銃を製造する会社はミロクの他、自衛隊に自動小銃を提供している豊和工業が狩猟用のライフル銃のみを製造するなど、ほとんど残っていません。ミロクは国内の猟銃メーカーとしてはトップ企業です。