グローバル化とデジタル化で急成長する「グローバル小型成長株」
現代の成長株は経済の「グローバル化」や「デジタル化」をテコに、重厚長大型の製造業や労働集約型のサービス業では考えられないスピードで成長している。そして、こうした異常ともいえる成長スピードは、かつてのGAFAがそうであったように「グローバル小型成長株」の特権と言ってよさそうだ。
急成長が期待される「グローバル小型成長株」について、その具体例を見ていこう。ハイテクの中でも近年目覚ましい進歩を遂げるAI関連ビジネスだが、その恩恵を受けるのはエヌビディアだけではない。例えば、AIを活用してクラウドコンピューティングに最適化されたサイバーセキュリティを提供するクラウドストライク・ホールディングスや、AI開発に不可欠なビッグデータの解析・管理・統合などを行うパランティア・テクノロジーズなどは高い成長が期待されており、今年の株価は好調に推移している(図表4)。
また、広く世界に目を転じると、6億の人口を擁し、労働人口も若く、分厚い中間層を有する中南米は、アジアを凌駕する成長地域として注目を集めている。そして、中南米で最も人気の高いECサイトやオンラインオークションを運営しているのが、アルゼンチンのメルカドリブレ(Mercado Libre、スペイン語で「自由市場」)だ。メルカドリブレは本国のアルゼンチン以上に、中南米の大国であるブラジルやメキシコで利用者を大きく伸ばしている。そして、同社の業績や株価は、アルゼンチン国内の政治・経済の混乱をものともせず急成長を続けている(図表5)。
■成熟産業もデジタル化で高成長するインド
アジアの中でもその高い成長性で注目されているのがインド経済だ。そして、先進国なら成熟産業となる業種でも、インドでは高い成長性が期待できそうだ。例えば、インド最大手銀行のHDFC銀行の預金量は過去2年間に+41%増加、税引き後利益は同+42%増加、そして株主配当は同2.9倍となっている(図表6)。
こうしたHDFC銀行の高成長を支えるのが、インドで進む決済のデジタル化だ。現在、インドの家計支出の約35%がインターネットやモバイルを経由するデジタル決済に移行しているといわれている。そして、HDFC銀行はこうしたデジタル決済の分野で、9割を超える独占的な市場シェアを占めているといわれている。
こうした「グローバル小型成長株」は、その規模ではマグニフィセント・セブンに大きく見劣りするが、経済の「グローバル化」や「デジタル化」をテコに、今後も大きな成長が期待できそうだ。そして、伸びしろの大きさから、株価についてもその高い成長性に見合った評価向上があっても決しておかしくないだろう。
まとめに
映画「荒野の7人」で盗賊たちと死闘を演じた7人のガンマン(ザ・マグニフィセント・セブン)は、4人が凶弾に倒れ、1人は銃を捨てて農民となり、残る2人は田舎町で安定した公務員(保安官)になる。こうした7人のガンマンの行く末は、壮絶なサバイバルゲームを今も戦っている、マグニフィセント・セブンの未来と重なる部分があるのかもしれない。
かつてのGAFAがそうであったように、これから急成長していく「グローバル小型成長株」は、非連続的な成長で私たちを驚かせる比類ないポテンシャルを備えている。そして、将来の成長が成果に直結する株式投資の性質を考えれば、「グローバル小型成長株」にこそ株式投資の醍醐味があるのかもしれない。
※個別銘柄に言及しているが、当該銘柄を推奨するものではない。
出典元:三井住友DSアセットマネジメント
構成/こじへい
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