地球のことを考えたアクションを取ることで、やがて自分に恩恵が返ってくる——。その理解が世界的に進む中、一つ一つの選択が問われている。コーヒーや水、健康飲料など、日常的に購入するものだからこそ、意識高く選択したいものだ。
サスティナビリティに取り組む食品ブランドは、啓発活動にも力を入れている。消費者が嗜好だけでなくサスティナビリティへの配慮から選ぶことのメリットとは? 3メーカーに尋ねた。
持続可能なコーヒー選びが「自分やその周りの世界を変える」
家庭でおなじみのコーヒーブランド「ネスカフェ」が2023年秋、コーヒーを飲み続けられる未来のために、サスティナビリティを中心に据えることを表明するべく、コンセプト「Make your world」を新たに掲げた。
85年ほど前に誕生した同ブランドは、1930年初頭、コーヒー豆の大豊作と価格の暴落に頭を悩ませていたブラジル政府からの要請を受け、お湯に溶かして手軽に飲める粉末タイプのソリュブルコーヒーを開発し、製品化したことをきっかけに誕生した経緯がある。ブランドを通じて、美味しいコーヒーのサスティナビリティを追求する精神が根付いており、現在では世界中で毎秒約6,000杯、飲まれるまでに広がった。
同社はコーヒー豆を「責任ある調達基準を満たしたコーヒー豆」を100%使用(※1)することで、持続可能性に取り組んできた。
責任ある調達基準を満たしたコーヒー豆とは、生産者や環境に配慮して作られ、栽培に従事した農家グループまたは協同組合を特定でき、ネスレ独自の責任ある調達基準を満たしていることを、独立した第三者機関によって検証または認証されたコーヒー豆のこと。
※1 生豆生産国の天候その他のやむを得ない事由により、98%を下回らない範囲で調整を行うことがある。
「Make your world」には、同社がこれからも香りや味わいにこだわった美味しいコーヒーを届けること、そして消費者がコーヒーを選ぶ際に生産者や環境に配慮して作られたコーヒー豆を使った一杯を選ぶことが、「自分やその周りの世界を変える」きっかけとなることを伝えるメッセージが込められている。
日本ではパッケージデザイン刷新を経て、2023年10月からは新CMの放映を開始。「そのコーヒーは、あなたをちょっとだけヒーローにする。」といったキャッチフレーズにより、いつものコーヒー選びを誇らしいものに変える。
消費者がコーヒー商品を選ぶ際にサスティナビリティを考えて選ぶことで、どのようなメリットが生まれるか。ネスレ日本株式会社 飲料事業本部 マーケティングスペシャリスト 中西弘明氏は次のように話す。
「『地球環境のために何かしたい』と感じていても、なかなかその一歩を踏み出せない方が多い(※2)といわれている中、まずは身近なコーヒーを選ぶ際の基準を意識してみることを提案するのが、今秋より展開を開始した新コンセプト『Make your world』。生産者や環境に配慮したコーヒー豆を100%使用したネスカフェを選ぶだけで、まずは自分やその周りの世界、さらには地球環境にも良い影響を与えていくことにつながります。ほんの小さなことでも、自分ができることからアクションを取ることの大切さを伝えるとともに、1人でも多くの方に実践していただきたいと考えています」
※2 消費者庁による令和4年度第3回消費生活意識調査(2022年11月実施)