「これからどうなっていくのか、先行きが不透明」、「AIに仕事が奪われるのでは?」そんな不安を抱えるビジネスパーソンは多い。もし、組織に属さなくても自らの力で稼ぐという自信さえあれば、こうした悩みや不安は消し飛ぶはず。
そんな自信をもてるようになるキャリアデザイン法が密かに話題となっている。アビリティ・マーケット・マッチング(AMM)と呼ばれるもので、自分自身の強み(Ability)と、その強みを高評価する市場(Market)を同時に明確化することにより、最高値で売れる組み合わせ(Matching)ができるようにする方法論である。
提唱しているのは経営・マーケティングコンサルタントで作家の神田昌典さんと、マーケティング・コピーライターの衣田順一さんで、このほど「あなたの強みを高く売る」(SBクリエイティブ刊、定価1650円)を発刊した。書籍ではAMMが他のキャリアデザイン法と違う点や、実際のやり方などについて、詳しく紹介している。
売り手の提供価値と買い手のニーズを合わせる
新刊書によると、AMMが他と際立って異なる点は「強みを見つけるだけでなく、それをお金に変える技術」である。自分の中に眠っている新たな強みを発見するための自己啓発ツールは多いが、見つけた後の活用方法や、それを実際にお金に変える方法にまで言及している書籍はなかった。AMMが注目されているのは、まさにこの「お金に変える」点である。
著者の神田さんによると、売り方には原理原則があると主張している。だからこの原理原則にのっとっていれば、自然にモノやサービスは売れて、その対価としてお金が得られると言う。
さらに売り方の原理原則、すなわち売れる核心を、プロダクト・マーケット・マッチング(PMM)と呼び、売り手の提供価値と買い手のニーズを合わせることであると解説している。具体的には、
・他のものと違う良さを見つけて
・それがどのように役立つのかを考え
・それを必要とする人を決め
・その人に価値を伝えると高く売れる
というわけである。
さらに神田さんは、「売る=相手からお金を奪うこと、ととらえる人もいるかもしれません。お金は対価ですが、これを商品・サービスを提供したことにたいする対価ととらえると、お金を奪うイメージになりやすいのです。
あなたが提供するものは商品・サービスそのものではなく、究極的には次の2つのうちのどちらかなのです。
1)相手が抱えている問題を解決するもの・こと
2)相手が叶えたい理想を実現するための手助けになるためのもの・こと
いずれの場合でも、相手の人生をより良いものにするためのものです。そして、問題が解決したり、理想を実現できたりする感謝のしるしとして、お金をもらうわけです。
私は常々こう言っています。ビジネスにおいてありがとうは買い手が言う言葉なのだと。売り手はそのありがとうに対して、どういたしまして、良かったですね、と答えればいいのです」と新刊書で解説している。買ってくれた人にお礼を言うのではなく、お礼を言われる営業ができたら、と思う人は多いかもしれない。