近くに貧乏ゆすりをしている人がいると、「落ち着きがない」、「イライラしている」など、マイナスなイメージを抱く人がほとんどです。
貧乏ゆすりは無意識のうちに起こってしまう体の反応だと言われていますが、その貧乏ゆすりをしてしまう原因にはさまざまな心理状態が隠されているのです。
今回は、貧乏ゆすりをしてしまう人の心理状態や原因、そして無意識の癖を改善する方法を解説していきます。
貧乏ゆすりはなぜ起こる?
貧乏ゆすりとは、何かしらの身体的、または心理的なストレスによって起こった体が緊張を解消するために起こる反応だとされています。
人はストレスを感じると、体を動かすことでそのストレスから意識を逸らそうとします。このストレスから逃れるための行動が、貧乏ゆすりとなって表れているのです。
貧乏ゆすり以外にもストレスを逸らす方法として、ペンなどを回す、落書きを書き続ける、髪をいじるなどの行動もこれに該当すると言われています。貧乏ゆすりをする人としない人の違いがあるのは、このような他の行動で消化している場合と、体を動かすこと以外の他のストレス解消を行なっている場合があります。
また、貧乏ゆすりは、下肢に不快な症状を感じる病気を解消するための行動の1つでもあります。今回は心理的な原因を取り上げるため、疾患の場合は除外しています。
貧乏ゆすりをしてしまう心理状態や原因
貧乏ゆすりをしてしまうのには何かしらのストレスが生じていることがわかりました。では、主な原因はどのようなものでしょうか。ここでは心理状態を見ていきます。
1.緊張している
人は緊張すると、呼吸が早くなったり、胸がドキドキしたり、体が震えたり硬直したりします。これらは体が緊張という非常事態に備えるために起こる防衛反応の1つです。
緊張は誰にでも起こることなのですが、「緊張してはいけない」と無意識のうちにその気持ちを抑え込もうとしてしまうときに、心はストレスを感じます。
そのストレスを解放するために貧乏ゆすりによって緊張を逃そうとしてしまっているのです。
2.イライラしている
自分には不都合なことが起こった場合や、予定が狂わされた場合など、イレギュラーなことが起こると、人はイライラしたり、怒りを感じます。
その相手に怒りやイライラをぶつけられたらいいのですが、大人になると我慢しなければいけない場面ばかりのはず。そのストレスを解消するために貧乏ゆすりで怒りを放出しています。
3.不安を感じている
人は不安を感じると落ち着きがなくなります。これは体を動かすことで、その不安というストレスから意識を逸らそうとしているからです。
不安を感じている自分を認められる人は、何かしらのストレス解消法(ストレッチや休憩を挟むなど)を得ている可能性がありますが、不安を感じている自分を認められない人は解消法がわかりません。
なので、体が無意識のうちにストレスから意識を逸らそうとする行動が貧乏ゆすりとして表れている状態です。
4. 退屈だと感じている
物事に興味が持てなくなっている、退屈な状態でも貧乏ゆすりは起こります。
貧乏ゆすりというリズム的な動作は、脳に刺激を与えます。無意識のうちにこの刺激によって退屈な状態を脱しようとしているのです。
無意識に起こる貧乏ゆすりの癖を改善する3ステップ
ストレスをまったく感じずに生活を続けるのは、ほぼ不可能です。そのストレスを他のもので解消させることで、貧乏ゆすりは改善することができます。ここでは、貧乏ゆすりの癖を改善する3つのステップをご紹介します。
1.ストレスを感じている自分を受け入れる
まず始めに、緊張や不安、イライラなど怒りを感じることは悪くないと、自分を受け入れてください。
「こんなことで緊張してはいけない」、「みんなできているんだからできて当然」、「こんなことでイライラする自分はダメ」など、自分に対して否定的な人ほど、緊張や不安などを抑え込もうとします。抑え込もうとする意識によって心がそのことに囚われ続ける結果となり、より強いストレスを感じてしまいます。
まずは自分を受け入れることが大切です。
2.自分が何にストレスを感じやすいか可視化する
次に、自分が何に対してストレスを感じやすいのかを明確にする必要があります。
会議などで自分の意見することなど苦手なことや、イライラすること、不安に思っていることなどを書き出しましょう。そして、その場面になったときに貧乏ゆすりをしていないかを少しだけ意識してみてください。
貧乏ゆすりが起こりやすい場面がわかると、対策はしやすくなります。
3.別の行動に置き換える
ストレスを受けやすい場面がわかると、その場面でストレスを解消する方法を考えていきましょう。
会議中など動きづらい場面では深呼吸をする、仕事が思うように進まずにイライラするときには休憩を挟んだりストレッチをするなど、貧乏ゆすりとは別の行動でストレスを逃す方法を考えてみてください。
文・構成/藤野綾子