謎解きゲームでチームビルディング向上、離職率を引き下げる
「離職の要因はさまざまですが、根本的なものの一つはチームの関係性やエンゲージメントの低下によるものだと思います」
そう話すのは、人材育成・社員研修サービスを提供する株式会社ワークハピネスのチームビルディング事業部長 田中秀明氏だ。
同社は、チームにおける一体感の醸成や相互理解・相互尊重、つながりの構築など、関係の質を向上させることによって、チームのパフォーマンスを高めることを目的に「Beat the Box」という謎解きプログラムを企業向けに提供している。
「Beat the Box」は、4~5人ずつのチームに分かれて行う謎解きゲーム。チームの目の前には、一つずつ大きなアルミのBOXが置かれる。お題は「90分以内にすべてのBOXを開け、暗号を解き明かす」こと。
最初の謎を解き、アルミのBOXを開けると中には番号が1~4まで振られた4つのBOXが入っており、謎を解きながら順番にBOXを開けていく。
謎を解くには、他チームが持っている情報やツールを組み合わせる必要がある。そのため、自然とチームを越えた全体のコラボレーションが加速する。各チームの最後のBOXを開けると暗号となるアルファベットの文字が入っており、すべてのチームの文字を組み合わせることで、暗号となる文字を解読できるようになる。
「Beat the Box」イメージ
「あるマスコミ関連企業の事業部には3つのチームが存在していましたが、それぞれが独立し横のつながりが弱く、部門全体として大きな価値が生み出せていない状況でした」と田中氏。
しかし「Beat the Box」を導入して変化が訪れた。
「普段、仕事では感じ取ることができない性格や強みなど、お互いのメンバーへの理解が深まり、現実の業務に戻った後はチームを越えたコミュニケーションを取る機会が明らかに増えたと聞いています。さらに戦略ミーティングの際にも質疑応答が活発になったそうです」(田中氏)
同プログラムによってチームビルディングが進むと同時に、人材維持にも良い影響をもたらしているという。
「Beat the Boxは結果的に、組織や仕事へのエンゲージメントの向上につながり、仕事へのモチベーションや、仕事へのやりがい、仲間意識が高まることで、離職の低下につながっている側面があります」(田中氏)
食事補助、AI面接官、謎解きゲームと、一見、人材獲得や維持には関係がないように見える取り組みだが、効果は期待できるようだ。この売り手市場を勝ち抜くさらなる取り組みに期待したい。
文/石原亜香利