採用市場は売り手市場が続いており、多くの企業は人材獲得に苦戦している。新規獲得はもちろんのこと、定着やエンゲージメント向上のためにも、さまざまな施策が行われている。今回は、人材確保の打開策となった、少々意外性のある事例を3つ取り上げる。
食事補助サービス導入で定着率に良い影響
最近の企業の食事補助の福利厚生は充実している。エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は従業員への食事補助として企業が利用しているサービスの一つだ。会社から例えば毎月3,500円分が支給され、従業員は全国25万店以上の飲食店やコンビニで支払いに利用することができる。
大阪府・兵庫県を中心に介護・高齢者施設の経営・運営業務など、介護サービスを提供している株式会社ハートコーポレーションは、チケットレストランを導入している企業の一つだ。
同社の常務取締役 岡嵜将志氏は、「定着率と離職率について、チケットレストランの効果は大きい」と話す。
「介護業界は介護報酬に上限があり、給与面で十分に還元することがむずかしく、特に若年層人材の定着率の向上や離職率の引き下げは介護事業者全体にとって大きな課題。チケットレストラン導入と並行して役員による職員の個別面談を実施したところ、チケットレストランの利用がすでに生活の一部になっている職員も多く、将来的な離職を考える際に思いとどまる理由の一つになっていることが分かりました」
実際、社員からは「コンビニで選ぶお弁当が少し贅沢になりました」「持参するお弁当へのプラス一品が購入でできるようなり、気持ちに余裕ができました」などの絶賛の声が挙がっているそうだ。
採用面への効果についても期待が高まる。職員紹介からの採用に力を入れている同社ゆえ、「今後、職員からの口コミで効果が出てくると期待しています。
『うちの会社、こんな福利厚生があるよ』と職員の個人的なつながりからの応募で大きな効果が出てくると期待しています」と岡嵜氏は話す。
じわじわと従業員たちの心に芽生える会社への信頼が人材維持に寄与している。