DIME1月号ではスポーツの名将に学ぶチームマネジメント術を特集。ここでは、本特集で取り上げた指揮官たちの言葉を紹介したい。読めば、一流の監督も時に迷いながら前に進んでいることが伝わってくる。選手を奮い立たせる努力、目的地を示す覚悟など、いかなる状況でもチームで結果を出すために、リーダーとして持つべきものを学びたい。
「全員が『俺がキャプテンだ』と
思ったら、プレーの仕方は変わるはず」
WBC日本代表監督 栗山英樹
当事者意識を持たせる
侍ジャパンに主将を置かなかった理由を記者に問われた際の一言。選手に〝究極の当事者意識〟を求め、「勝つために全員が行動し、話をし、全員で引っ張ってもらいたい」と語った。
「全員が全員、エリートである組織より、
泥臭さを備えたり、個性を備えたりした
選手がいる組織のほうが間違いなくうまくいく」
駒澤大学陸上競技部総監督 大八木弘明
個性は消さない
「抜きん出た何か」を持つ選手は努力次第で大化けする可能性も秘め、チームに大きな刺激を与える存在になりえる。個性を認めて伸ばすことが求められる。
「私は自分を信じることを大切にしています。
小さなことかもしれませんが、とてつもなく重要なポイントなのです」
バスケットボール男子日本代表HC トム・ホーバス
『ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること』
著/トム・ホーバス(ベースボール・マガジン社)
自信こそコーチングのベース
「打ち立てた目標をコーチ自らが心から信じなければ、選手たちが信じて厳しい練習についてきてくれるわけがない」と語る。リーダーの信念は混じり気のないものでなければならない。
「注意して、リアクションを見て、それで終わりでもいけません。
もうひとつフォローアップまでする」
バスケットボール男子日本代表HC トム・ホーバス
丁寧に関係を築く
コミュニケーションは間違えることがあるので、選手を注意した際は翌日に本人と話し、双方の受け取り方が正しいか確認すべき。それがよりよい関係につながる。
「私にとってコーチングは『アート』なんです」
元・ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズ
『ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズとの対話』著/生島 淳
指揮官には見極める能力が必要
選手ひとりひとりにとって何が必要か、それを見極めるのがコーチングにおける「アート」だと語る。
「指導者は結果だけを見るのではなく、
プロセスや意図、積極性といったものを
評価してあげなければいけません」
慶應義塾高校野球部監督 森林貴彦
『Thinking Baseball 慶應義塾高校が目指す“野球を通じて引き出す価値”』
著/森林貴彦(東洋館出版社)
失敗は許す
結果を出すのは大事だが、ミスがあるのが野球であり高校生。「失敗してもいい」「結果だけを見ているわけではない」と意識する。
「できるか、できないかは関係ない。
やるか、やらないかだけが大切なんだ!」
WBC日本代表監督 栗山英樹
『栗山ノート2 世界一への軌跡』著/栗山英樹(光文社)
先入観を排除する
侍ジャパンの監督オファーを受けた際、自分にはふさわしくないと考えたが、行動規範にしてきたこの言葉が胸を叩き決断。本では就任要請を受けてからの日々を、栗山氏が振り返る。
「しんどい自分も好きになってみたら?」
サッカー男子日本代表監督 森保 一
苦しむ選手を見捨てない
サンフレッチェ広島の監督時代、うつ病に苦しむ選手に「がんばれ」「期待しているぞ」という言葉ではなく、この言葉を伝えた。
「リーダーの覚悟が組織の方向性を決めます」
青山学院大学駅伝部監督 原 晋
リーダーは覚悟を持て
リーダーの役割は、自分がやりたいことを実現するために情報を精査し方針を決めることだと言う原監督。リーダーの覚悟が問われる。
「僕には、いろいろなものが足りなかった。
足りないものがたくさんあったからこそ、僕はサッカーに対していつも貪欲だった」
サッカー男子日本代表監督 森保一
雑草魂が成長の源
「テクニックがなくて、足が速くなくて、フィジカルが強くない」とよく言われたと語る森保監督。この非エリート意識こそが原動力だ。
「よし、私自身が変わろう、
変わらなければならない」
駒澤大学陸上競技部総監督 大八木弘明
『必ずできる、もっとできる。』著/大八木弘明 (青春出版社)
年齢を言い訳にしない
勝てずに危機感があった時、年齢を言い訳にしている自分に気づいたと語る。指導を変え、選手に真正面から向き合うことを決意した。
文/編集部