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開園から70年、震災を乗り越え進化を続ける「神戸市立王子動物園」と動物たちの歴史

2023.12.02

2024年度から「神戸市立王子動物園」は大規模な進化の時期を迎える

70年以上長く愛されてきた王子動物園はその敷地がある王子公園の「王子公園再整備基本計画」に伴い、2024年度から通常営業をしながらリニューアル工事を行っていく予定である。

2021年度に示された「王子公園再整備基本方針」は、多くの意見交換の場がもうけられ「王子動物園のリニューアルにあなたの声を!~ワークショップ」や「市民ヒアリング」を重ねて計画は修正され2023年9月20日に「王子公園再整備基本計画(素案)」が公開された。さらにその素案に対して市民の声を聞き、いよいよ大詰めを迎えている。

素案の中に新たな動物園の展示のイメージが記されている。その内容は、これまでオリの中で背景などなく動物の種を個で見るスタイルが主流だったものから、視点を生息環境までも広げた展示をするスタイルへ変化しようとしている。これは現在日本国内の多くの動物園がリニューアルを手がけている昨今のリニューアル後の展示に広く導入されている「生態展示」というスタイルである。

また、展示のリニューアルには今居る動物達が快適に過ごせる環境整備(動物福祉)についても配慮していくことが重要視されている。現在高齢化の進む園内の動物達。王子動物園では今居る動物達についてもふれあいコーナーの人気者の「がっちゃん(アヒル)」の歩行補助器具によるリハビリ、「ロクジ(エゾヒグマ)」の高齢による衰えから来る後ろ脚の筋力低下などへの配慮の為、展示エリアのバリアフリー化など前向きな動物福祉活動が行われている。

その状況をバックヤードで隠すわけではなく、職員と共に懸命に生きる姿を多くの人に見てもらっている。可愛いだけではない生き物、可愛いねと愛玩するだけの飼育ではないことを伝える基本姿勢がある王子動物園だからこそ、これからのリニューアルには期待が大きい。

多くの人の意見が飛び交う「王子公園再整備基本計画」であるが、これまでの王子公園、王子動物園での思い出がある人たちのその思い出の場所が形を変えようとしていることからこそ、色んな点において「賛成」「否定的」な意見が物議を醸しているが、仕方のないことである。今を残したいと思うのも思い出の場所が変わることへの寂しさからかもしれない。しかし、これまでもこの場所はその形を変えてきた歴史がある。今が昔より悪いと言う人はいないだろう。

今を楽しんでいる子供達、これからその子供達が親になって見る景色には、今とは全く違うその子らが生きる時代に合った物であるべきだろう。「王子動物園」および「王子公園」は、次世代の市民のために大きく生まれ変わろうとしている。神戸という街が将来どんな街になるのか今は分からないが、そのときに神戸市立王子動物園が存続し、新たな動物達とのより良い出会いの場になっていることが望まれる。また、その時代の桜の景色はどんな物なのだろうか想像に胸が膨らむ。是非、同園に足を運び王子動物園の今を楽しんでもらいたい。

【取材先】
神戸市立王子動物園 
〒657-0838 神戸市灘区王子町3-1
TEL:078-861-5624
Twitter/ YouTube
・神戸市都市局未来都市推進課
出典:王子公園再整備基本計画(素案)2023年9月20日発行

【写真/記事】
・動物園写真家 / 動物園ライター 阪田真一(HP)/ Twitter / note

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