日本の経済力アップに欠かせないIT産業。その先頭集団にいるLINEヤフーが、GAFAMに匹敵し世界を席巻する日は来るのだろうか。2人の専門家に戦略を聞いて見えてきた課題とは?
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LINE・若者・ブランドの3戦略でまずは国内覇権を握れ
テクノロジーで世界全体に影響を与える巨大企業GAFAM(グーグル・アマゾン・アップル・フェイスブック=メタ社・マイクロソフトの総称)に対し、ほぼ日本のみを拠点にしてきたLINEヤフーが、彼らと肩を並べるにはどうすべきか。2人の識者は「まず楽天との覇権争いに勝たなければ話になりません」と口を揃える。そのために必要な戦略は上掲した6つの勝ち筋にまとめた。
キーワードは(1)『LINE』のマネタイズ、(2)20代以下の『若者』層の取り込み、(3)『ブランド』の認知と統廃合戦略だ。
打倒楽天には「金融関連のPayPay、ネットサービスのヤフー、コミュニケーションのLINEとユーザーもブランドも分散する中で、ユーザーの認知度を高め、シェア№1を持つ決済アプリPayPayを軸に経済圏を作れるかがカギ」(鈴木さん)であり、モバイル通信で出遅れている楽天に対して「ソフトバンクの通信サービスと、LINEヤフーのライフスタイル向けサービスとで、どうシナジー効果を発揮できるかが戦略の要となるでしょう」(大西さん)。
2人の識者が考えるLINEヤフーの勝ち筋はこれだ!
国内外での〝ブランディング〟戦略に注目
システム統合はマストではない。ヤフー・PayPay・LINEの3ブランドでサービス展開をしながら知名度をどう上げていくか。ブランディング戦略が重要な成功因子でしょう。
ITジャーナリスト
鈴木淳也さん
メーカー系エンジニア経験を持ち、特に決済分野の造詣が深いITジャーナリストとして、国内テック系メディアに多数の寄稿をする。
通信サービス×ライフスタイルの経済圏がカギ
親会社ソフトバンクの通信サービスからLINEヤフーのコマース領域まで〝ワンストップ〟で使えるプラットフォームが実現できれば、GAFAMに比肩する未来が現実味を帯びてきます。
ノンフィクション作家
大西康之さん
日本経済新聞社の編集委員などを経て2016年に独立。『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』(小学館)など著書多数。
【勝ち筋 1】資産形成から消費へシームレスにつなげた経済圏を作る
LINEヤフー経済圏の中で、お金の流れの最大し消費を促すためには、「PayPayブランドの金融サービスで資産形成する人をいかにヤフーでの消費に結びつけられるかにかかっています」(鈴木さん)
【勝ち筋 2】ユーザーごとに最適化した〝スーパーアプリ〟戦略
「PayPayひとつで何でもできる〝スーパーアプリ〟は、機能が多くなるとその分複雑化し使いづらくなるリスクがある。ユーザーがよく使う機能を提案するなど最適化が必要です」(鈴木さん)
【勝ち筋 3】20代以下の若年層を取り込みサービス利用で囲い込む
1990年代から存在するヤフーの利用者の平均年齢は上がる一方だ。「LINEも含め、若者向けのサービス領域で出遅れている動画関連に力を入れつつ、金融やEコマースの利用促進が課題です」(鈴木さん)
【勝ち筋 4】PayPay・ヤフー・LINEの3ブランドの絡まりを解消せよ
「そもそも群雄割拠するがごとくこれらの3ブランドが絡み合っており、ユーザー視点ではわかりづらすぎます」(大西さん)。楽天の一枚岩さに対抗できるほどの分かりやすさが必要だろう。
【勝ち筋 5】Yahoo!ショッピングのさらなるイメージアップ・利用拡大
「ヤフーは出店料が無料ゆえ、玉石混交な出店者が集まる。『ヤフーには良いものがない』というイメージをユーザーが抱きやすくなっています」(大西さん)。セレクトショップなどで付加価値拡大が必須だ。
【勝ち筋 6】覇権を握るが収益力が少ないLINEのマネタイズを強化する
「無料で使えてかつユーザー数が膨大なLINEから、いかにお金を落とすサービスに誘導するか。楽天よりも明確に強い領域なので、合併後のシナジーが最も必要なところです」(大西さん)