会社からあまりにも長期間の連勤を指示された場合、会社の指示が労働基準法などの法律に違反している可能性があります。また、連勤について具体的な指示がなかったとしても、会社は違法な連勤について責任を負う場合があります。
過酷な連勤を強いられている場合には、労働基準監督署への相談などを通じて、状況の改善を図りましょう。
本記事では、労働者の連勤は何日まで認められるのかに関する法律上のルールや、違法な連勤を指示された場合の対処法などをまとめました。
1. 連勤は何日までOKか? 適用される法律上のルール
会社の労働者に対する連勤の指示は、労働基準法・労働契約法・労働安全衛生法による制限を受けます。
1-1. 労働基準法による上限
会社は労働者に対して、1週間につき1日、または4週間を通じて4日の休日(=法定休日)を与えなければなりません(労働基準法35条)。
法定休日の付与義務の規定だけを考えると、1週間につき1日の法定休日を与える場合は12連勤、4週間を通じて4日の法定休日を与える場合は48連勤が上限となります。
(例)
(1)法定休日が1週間につき1日である場合
(a)1週目
日曜:休み(1日)
月曜~土曜:出勤(6連勤)
(b)2週目
日曜~金曜:出勤(6連勤)
土曜:休み(1日)
→計12連勤
(2)法定休日が4週間を通じて4日である場合
(a)1週目~4週目
1週目の日曜~水曜:休み(4日)
残り全部:出勤(24連勤)
(b)5週目~8週目
5週目の日曜~8週目の火曜:出勤(24連勤)
8週目の水曜~土曜:休み(4日)
→計48連勤
なお、労使協定(36協定)のルールに従って法定休日にも出勤を指示すれば、理論上は上記の上限規制を回避することも可能です。
1-2. 労働契約法に基づく安全配慮義務
労働基準法上は12連勤(または48連勤)の指示が可能だとしても、あまりにも長期間の連勤は労働者の心身にダメージを与えることが明らかです。
会社は、労働者が生命・身体等の安全を確保しつつ労働できるように、必要な配慮をする義務を負っています(=安全配慮義務、労働契約法5条)。
過酷な連勤を指示することは安全配慮義務違反に該当し、もし労働者が心身の健康を害した場合には、会社が労働者に対して損害賠償責任を負う可能性が高いでしょう。
1-3. 労働安全衛生法に基づく安全・健康確保義務
さらに、会社は快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、職場における労働者の安全と健康を確保する義務を負っています(=安全・健康確保義務、労働安全衛生法3条1項)。
過度な連勤指示は安全・健康確保義務に違反し、労働基準監督署による行政処分等の対象となる可能性があります。