概況〜資金需要が旺盛になる年末を控えて企業倒産は増勢を強める可能性
東京商工リサーチから2023年10月度の全国企業倒産(負債額1000万円以上)に関するリポートが発表された。
まず件数は2022年4月から19か月連続で前年同月を上回った。また5月から700件台で推移した結果、1〜10月累計は7073件に達しており、前年の年間件数(6428件)を超えた。
負債総額も2か月連続で前年同月を上回った。10月度では2010年の5200億5000万円以来、13年ぶりに3000億円を超えた。負債100億円以上が6件(前年同月1件)、同50億円以上100億円未満が7件(同1件)と大型倒産が大幅に増加、負債を押し上げた。
「新型コロナウイルス」関連倒産は263件(前年同月比12.3%増)で、2023年1〜10月累計は2623件(前年同期比42.9%増)と前年同期の1.4倍と大幅に増加している。
■産業別〜2か月ぶりに10産業すべてで前年同月を上回る
2023年10月の産業別件数は、10産業すべてで前年同月を上回った。10産業すべてが前年同月を上回るのは8月以来、2か月ぶりで、今年2度目となる。
最多はサービス業他の255件(前年同月比32.1%増)で、14か月連続で前年同月を上回った。月次倒産に占める構成比は32.1%(前年同月32.3%)だった。
次いで、資材価格の高止まりが続く建設業が164件(前年同月比76.3%増)で10か月連続、ウクライナ情勢や円安の影響による仕入コストが上昇している製造業が103件(同27.1%増)で15カ月連続で、それぞれ前年同月を上回った。
このほか、情報通信業27件(同35.0%増)が13カ月連続、小売業81件(同1.2%増)が6か月連続、運輸業34件(同17.2%増)が5か月連続、不動産業27件(同35.0%増)が3か月連続、農・林・漁・鉱業11件(同175.0%増)と卸売業89件(同17.1%増)、金融・保険業2件(前年同月ゼロ)が2か月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
■地区別〜東北、北陸、九州を除く、6地区で前年同月を上回る
2023年10月の地区別件数は、9地区のうち、6地区で前年同月を上回った。
関東323件(前年同月比57.5%増)が、2022年5月より18か月連続で前年同月を上回った。このほか、近畿196件(同45.1%増)が11か月連続、中部92件(同6.9%増)と中国40件(同73.9%増)が6カ月連続、四国18件(同100.0%増)が5か月連続、北海道28件(同40.0%増)が2か月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
一方、北陸8件(同38.4%減)が2か月連続、東北33件(同29.7%減)が7か月ぶり、九州55件(同5.1%減)が16か月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。
[負債額上位5社]
1.(株)ガイア/東京都/パチンコ店経営/943億5500万円/民事再生法
2.(株)MG建設/東京都/建築工事/214億5000万円/民事再生法
3.(株)MG/東京都/パチンコホール/174億8800万円/民事再生法
4.(株)ガイア・ビルド/東京都/建築工事/155億1600万円/民事再生法
5.(株)トポスエンタープライズ/千葉県/物流倉庫事業/115億4100万円/民事再生法
関連情報
https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1198127_1610.html
構成/清水眞希