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企業にとって『ニーズ』を把握することが大切だといわれていますが、よく理解できていない人もいるのではないでしょうか?ニーズの意味や種類、把握する方法などを紹介します。『シーズ』や『ウォンツ』との違いも知り、理解を深めましょう。
「ニーズ」とは?
そもそも『ニーズ』とは、何を指しているのでしょうか?まずは言葉の意味を正しく理解しましょう。2種類あるニーズについても紹介します。
■ニーズは目的を指す言葉
ニーズはマーケティングで重要とされる概念で、『顧客の目的』を指す言葉です。例えば、『家事の時間を節約したい』『仕事の効率を上げたい』『熟睡したい』など、顧客が求めているものや状態を指します。言い換えれば、自分が理想とする状態と現実のギャップを埋めたいという欲求です。
顧客のニーズに基づいて商品やサービスを生み出す方法は『ニーズ発想』と呼ばれ、重視されています。顧客が必要としているものや状態を満たす商品やサービスには、受け入れられやすいというメリットがあるためです。
■2種類のニーズ
ニーズには大きく分けると『顕在』と「潜在』の2種類があります。顧客が気付いており言語化できるニーズは『顕在ニーズ』です。他方、『潜在ニーズ』は顧客が気付いていないニーズで、言語化できないのが特徴です。一方、
例えば、『家事の時間を節約したい』という心理には、『自分の時間を増やしたい』『パートの仕事をしたい』『誰かに家事をやってほしい』など、さまざまな潜在ニーズが推測できます。
顕在ニーズを掘り下げることで、顧客が本当に求めている潜在ニーズを把握できるため、マーケティングにおいて重視している企業が多いのです。
ニーズを把握する重要性
マーケティングにおいてニーズを把握することが重視されている理由を、より詳しく紹介します。理由を知ることで理解が深まり、自分の仕事にも生かせるでしょう。
■売上増や利益増につながる
顧客のニーズを的確に捉えられれば、購入につながる商品やサービスの開発・提供ができます。
ニーズを満たす商品やサービスに出合うと、多くの人は『こんなものが欲しかった』とうれしくなるものです。特に潜在ニーズを満たすものに出会ったときは感動し、そのインパクトが購買意欲をかき立てます。購入者が多ければ多いほど、売り上げや利益を伸ばせるでしょう。
逆にニーズを把握しないまま商品やサービスを提供しても購入につながらず、ビジネスチャンスを逃す結果になりかねません。そのため、ニーズをしっかり調査・分析した上で企画を考え、商品やサービスの開発につなげていくことが大切なのです。
■顧客満足度が向上する
たとえ非常に優れている商品やサービスだとしても、顧客のニーズを満たしていない場合は、顧客満足度の向上にはつながりません。顧客のニーズを把握できていれば、それをベースにニーズを満たす優れた商品やサービスを開発でき、顧客満足度が向上します。
顧客満足度が向上すると、リピートして購入してもらえる可能性も高まるでしょう。リピートして購入してもらえれば、長期にわたって安定した売り上げの確保を実現できるため、企業にとって大きなメリットです。
ニーズを把握する方法
ニーズを把握するには、複数の方法があります。主な方法を三つ紹介します。それぞれ異なる強みがあるため、どの方法を使うのか決める際の参考にしましょう。
■顧客のデータを分析する
購買情報など顧客の基本データを分析して、市場を細分化する方法です。主なデータ分析方法として、直近購入日・利用頻度・金額の三つを指標とする『RFM分析』と、カテゴリー・テイスト・ブランドの三つを指標とする『CTB分析』、年齢・性別・職業などを用いた『セグメンテーション分析』などが挙げられます。
また、データを分析し、見込み客が購入に至るまでの可能性の高さ別に、四つに分類してマーケティング戦略を考える方法もあります。すぐに顧客になってくれそうな人たちとなかなか顧客になってくれなさそうな人たちでは、異なるアプローチが必要であるためです。
■アンケートやインタビュー、SNSで調査
対象者へのアンケートやインタビューを実施する方法もあります。対面・紙・オンラインなど、多様な方法から選択が可能です。
アンケートは、該当するものにチェックを入れるタイプや、自由に記入するタイプなどさまざまな種類があります。インタビューも1対1やグループなどに分けられます。イベントを開催し、実際に商品などを手に取ってもらい、アンケートやインタビューを実施するケースもあるでしょう。
SNSを利用して分析することも珍しくありません。商品やサービスのレビューをチェックすれば、改善点などを見つけられます。しかし手軽に情報収集ができる一方で、発信者の年齢や性別などが把握しづらいため、こまかい分析に適さないケースもあるでしょう。
■ニーズを掘り下げる
ニーズを繰り返し掘り下げることで、見えていない顧客の潜在ニーズを把握できるでしょう。具体的な方法としては、『なぜ』を繰り返して掘り下げていきます。『なぜそう思うのか?』『なぜそれが必要なのか?』というように思考を深めていくと、顧客の真のニーズを見出すことが可能です。
例えば、『即戦力となる営業担当者を雇いたい』というニーズは、人手不足が原因のように思えるでしょう。しかし、なぜなのか深掘りしていくと『即戦力となる人材がいない→営業教育が行き届いておらず、即戦力となる人材が育っていない』という仮説も考えられます。
この場合には、営業教育ツールやサポートなどのニーズも考えられるでしょう。
「シーズ」や「ウォンツ」との違い
ニーズと混同されがちな『シーズ』と『ウォンツ』とは、何を指す言葉なのでしょうか?分かりやすく紹介するので、それぞれの意味や違いを確認しましょう。
■「シーズ」は企業が持つ技術やノウハウ
マーケティングにおけるシーズとは、企業が有している技術やノウハウを指します。自社の技術やノウハウを用いて商品やサービスを開発することは、『シーズ発想』もしくは『シーズ志向』と呼ばれています。
シーズ発想では、独自の特許技術などをベースに商品やサービスを開発するため、顧客のニーズに合わないケースもありますが、市場の新規開拓につながるという強みもあるでしょう。また、顧客のニーズに対してシーズを活用して、商品やサービスを生み出すという手法も使われています。
■「ウォンツ」はニーズを満たすための手段
マーケティングにおけるウォンツは、ニーズを解決するための具体的な手段を指します。例えば、『熟睡したい』というニーズに対して、『ベッドを買い替えたい』はウォンツです。
ウォンツには三つの種類があります。最初に頭に浮かぶのが『基本ウォンツ』で、より明確な要素が付加されるのが『条件ウォンツ』、より期待度が高まるのが『期待ウォンツ』です。
前述の例でいうと、基本ウォンツが『ベッドを買い替えたい』で、条件ウォンツは『快眠できると評判のベッドに買い替えたい』などです。期待ウォンツは、『長持ちするベッドに買い替えたい』などがあるでしょう。
■ニーズをウォンツに変えるには
まず、多くの人に商品やサービスを知ってもらう必要があります。ニーズを満たす商品やサービスだとしても、認知してもらえなければ購入の検討すらしてもらえず、売り上げにつながりません。認知してもらう方法としては、広告・SNS・ダイレクトメールなどがあります。
数ある似たような商品やサービスの中から選んでもらうには、ほかのものと差別化を図り優位性を打ち出すことが大切です。例えば、カラー展開を豊富にする、サポート体制を充実させるなど、さまざまな方法があるでしょう。
『〇〇といえば〇〇』というように、ブランドの価値を高めることも重要です。ブランドの価値を高めることは、優位性を持たせることにもつながります。メディアでのアピールやSNSの活用など、ブランドの価値を高める方法はいくつもあります。
構成/編集部