連載/ゴン川野の阿佐ヶ谷レンズ研究所「電子シャッターの弱点を完全克服」
SONYからフルサイズミラーレスの最新モデル「α9 III」が発表された日、私は横浜の「ぴあアリーナMM」で開催された「α SPECIAL EVENT 2023」の会場にいた。αシリーズのミラーレスの体験型イベント取材という告知だったので来てみたら、「α9 III」が華々しくベールを脱いだのだ。広いホールには3つのコーナーが用意されグローバルシャッターの性能をガッツリ体験できる仕組みになっていた。
「α9 III」の目玉はグローバルシャッター方式フルサイズイメージセンサー世界初搭載である。皆さんご存知のように電子シャッターには、ローリングシャッター現象と呼ばれる歪みが現れる。具体的には高速で移動する被写体を撮影すると上下がズレてぐりゃりと変形する現象で、「こんにゃく現象」とも呼ばれる。原因はCMOSセンサーのローリングシャッターが撮影した画像データを上から順次読み出すため、その時間差によって歪みが生まれるのだ。これを避けるためメカニカルシャッターが併用されたり、高速読み出しなどの方法が取られていた。根本的な解決は全画素のデータを一気に読み出すグローバルシャッターの採用だが、これはノイズが多くて高画質が得られないというのが今までの常識だった。今回なぜSONYが搭載に成功したかは一切語れなかったが、相当以前から研究は進められていたそうだ。3つのコーナーで体験できたのは、バドミントンとバッティング、そしてフラッシュ撮影である。
インターフェイスは「α9 II」に似ている。重量は電池込みで約703gとやや重くなった。
液晶モニターは4軸マルチアングル方式になり、3.2型の210万ドッドと高画素化された。EVFは約944万ドット約0.9倍に向上した
カメラボディとタテ位置グリップにC5ボタンが増設された。このボタンを使って連写速度を素早く変更できる