「睡眠離婚」ということばをご存知だろうか。
睡眠離婚とは実際に離婚することではなく、文字どおり、“睡眠中だけ”別れる状態。同じ屋根の下で生活しながら、カップルが別々に寝ることを指す。アメリカでは3分の1が「睡眠離婚」をしているとも言われ、注目が集まっている。
積水ハウスの調査に見る日本夫婦の睡眠事情
昨年、積水ハウス 住生活研究所が20~60代の既婚男女573人を対象に行なった「夫婦の暮らしに関する調査(2022年)※」によると、若い夫婦ほど一緒の部屋で寝ている割合が高く、年代が上がるにつれて、別々の部屋で寝る人が増加する傾向がわかったという。
■65〜69歳の62.7%が寝室を分けている
データをみても、20~24歳では「同じ部屋で1つの寝具で寝る」が最も多く56.1%、次に「同じ部屋で別々の寝具で寝る」が36.9%、最も少数なのが「別々の部屋で寝る」で7.0%。
これが65〜69歳なると、「別々の部屋で寝る」が最も多く62.7%、「同じ部屋で別々の寝具で寝る」が30.5%と続き、「同じ部屋で1つの寝具で寝る」は少数派の6.8%と逆転する。
■別々に寝る理由は、いびきや寝言がウザいから
別々に寝ている理由として、最も多かった回答は「相手のいびきや歯ぎしり、寝言などがうるさいから」が29.6%、次に「お互いの生活時間がずれているから」で28.1%。「1人の時間を持ちたいから」、「お互いのライフスタイルが違っているから」、「配偶者・パートナーと最適な環境設定(温度設定など)が違うから」といった内容がほぼ同数で続く。
どれも納得できるし、かく言う私もこれらの理由から夫と「睡眠離婚」を実践している。
※積水ハウス 住生活研究所「夫婦の暮らしに関する調査(2022年)
調査期間:2022 年 8 月 19 日~22 日、集計対象人数:573 人、集計対象:全国の 20~60 代の既婚の男女
私たち夫婦が「睡眠離婚」をスタートしたワケ
ここからは筆者の話になるが、我々夫婦はもう2年ほど前から「睡眠離婚」の状態にある。
もともと私は子どものころから睡眠が浅い傾向にあり、布団に入ったらすぐに眠れる方ではない。そんな中、「睡眠離婚」にいたる直接のきっかけは夫の仕事の忙しさにあった。
当時、夫は私より遅く寝て、私より早く起きる生活サイクルを繰り返していて、私の睡眠は恐ろしく脅かされていた。その上、夫は突然、寝言で私に話しかけてきたりする。そのたびこちらは反応していたが、当然返事はない。イライラが募った。
ある夜、私はリビングにシングルの布団を持ち出し、「仕事が落ち着くまで」という条件のもと「睡眠離婚」を宣言したのであった。
■実は2.5度目の「睡眠離婚」
我々の「睡眠離婚」、今が初めてではない。その数年前、私はけんかの勢いで家出したはいいが、ほかに行く場所もなく、悔し紛れに敷布団を購入して帰ったことがあった。
この時の「睡眠離婚」は数週間に及んだが、急に気温が下がったことで寒くて眠れなくなり、仕方なく夫のベットに潜り込んだことで解消。いわば「モトサヤ」となったわけだ。
また、その数年後に「半睡眠離婚」も経験した。原因は、夫が掛け布団を独占する日々が続いたため。そのせいで風邪をひいてしまい、夫の小遣いで私専用の羽毛布団を購入してもらった。以降、ベッドは同じだが、掛け布団は別。長らく「半睡眠離婚」は続いていた。
■度重なる「睡眠離婚」に対する夫の反応
数年おきに我々夫婦は、「睡眠離婚」を経験しているが、夫の反応は決まって「黙って怪訝な表情」だ。
笑顔だと「喜んでいるのか」と責められるし、文句を言うと「原因はどこにあるのか」とまた責められる。いずれにしても、それなりに戦う覚悟が必要になるからかもしれない。
最近では時間になると、夫が私の布団をリビングに敷いてくれることもしばしばとなった。