日本でも多くのアウトドア愛好者に親しまれている「ノースフェイス」、「カナダグース」、「コロンビア」。これらのブランドはファッションアイテムにとどまらず、上場企業として株式市場においても注目を集めています。特に近年はゴープコア(Gorpcore)がトレンドとなり、アウトドアブランドの持つ機能性とタウンユースが合わさるライフスタイルが浸透しています。ちなみに“ゴープ(Gorp)”とは、「Good Old Raisins and Peanuts」の頭文字をとった略語でレーズンやナッツといった栄養価の高いミックススナックのこと。この“ゴープ”という言葉が転じて、“ゴープコア”とはハイキングといったアウトドアのムードをデイリーに取り入れたスタイルのことです。アイテムとしては、コンバットブーツやウインドブレーカー、カーゴパンツ、バゲットハット、レインコート、ナイロンパーカーなど。
そこで今回は、米国3大アウトドアブランド企業の株価動向、財務状況、経営戦略に焦点を当て、比較分析を行いたいと思います。
ノースフェイス(VFコーポレーション)>NYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場。
ノースフェイスの親会社であるVFコーポレーションの主要な事業はアウトドア、ワーク、アクティブ(スポーツ寄り)の3つの部門に分かれており、そのポートフォリオには様々な有名ブランドが含まれています。
VFコーポレーションの歴史は、1899年にジョン・バービーがアメリカ東部のペンシルベニア州でミトンなどを製造する会社を立ち上げたことに始まります。
初期にはシルクランジェリーの製造に進出し、社名を何度か変更した後、「Vanity Fair」というブランド名で下着製造を本格化させました。
第二次世界大戦後、1950年代にはH.D Leeというジーンズブランドを展開する企業を買収し、同時に「VF Corporation」という社名を採用し、その後、さまざまなブランドを次々に買収し、事業の拡大を遂げました。
【ノースフェイスの買収】
2000年代に入ると、VFコーポレーションは世界的なアウトドアウェアメーカーである「ノースフェイス」を買収し、アウトドア系企業としての地位を確立しました。その後、VANSやTimberlandなどのシューズブランドも取り込み、シューズ分野への進出を果たしました。
一方で、2007年にはVFコーポレーションの創業事業である「Vanity Fair」という下着ブランド事業部門を売却し、フォーカスを変えました。
2017年にはDickiesなどのワークウェアブランドを買収し、ワークウェアブランド事業への進出を本格化させました。
2020年秋には世界的なストリート系ファッションブランド「Supreme」の買収を果たし、その名が一気に広まりました。
【VFの由来】
VFとは、創業時からシルク製下着の製造を手がけ、その下着ブランド名が”Vanity Fair”であったことに由来しています。なお、Vanity Fairブランドは2007年に売却され、現在は展開されていません。
【ノースフェイスの強み】
技術革新と高品質 ノースフェイスは高い技術力を備え、耐久性と機能性に優れたアウトドアウェアを提供しています。
ブランドイメージ アウトドア愛好者や冒険者に信頼され、高いブランドイメージを構築しています。
【ノースフェイスのターゲットイメージ】
アウトドア愛好者 ハイキング、登山、スキーなどアクティブなアウトドア活動を愛する人々。
アーバンアウトドア ゴープコアトレンドに対応し、街中でも機能性のあるスタイリッシュなアイテムを提供。
【年間の売上高推移と株価】
直近の売上高推移(単位:百万ドル)はほぼ横ばいです。
【2020年3月】10,488.56【2021年4月】9,238.83【2022年4月】11,841.84
【2023年4月】11,612.48
直近の株価は17ドル付近を推移しており、2021年までは60~80ドルを推移していました。
とはいえ営業利益が減少しており、これが株価に反映されていると推測されます。
ちなみに日本でノースフェイスなどを展開するゴールドウィンは、業績も株価も上昇を続けており、こちらは投資対象としても検討の余地があるでしょう。