2. 孫を養子にする手続き
孫を養子にするためには、養親または養子の本籍地または住所地の市区町村役場に養子縁組届を提出します。
<必要書類>
・養子縁組届(成年の証人2名の署名が必要)
・戸籍全部事項証明書(届出先の市区町村役場が本籍地でない者について必要)
・本人確認書類
なお、養子となる孫が15歳未満の場合は、法定代理人が養子縁組を承諾できます(民法799条1項)。
これに対して、養子となる孫が15歳以上の場合は、まだ未成年者でも法定代理人が養子縁組を承諾することはできず、孫本人が届け出を行わなければなりません。
3. 相続対策として孫を養子にする際の注意点
相続対策として孫を養子にする際には、実子など他の相続人が反発して、相続トラブルに発展するリスクがある点に注意が必要です。あらかじめ他の相続人に対して説明を尽くし、その理解を得ておくことが望ましいでしょう。
また、養子である孫が未成年者であって、かつ孫の法定代理人(多くの場合、被相続人の実子)も相続人である場合には、遺産分割に関して、孫のために特別代理人を選任する必要があります(民法826条1項)。孫と法定代理人の間に利益相反関係が存在するためです。
利益相反関係があるにもかかわらず、特別代理人の選任を怠り、法定代理人が孫を代理して行った遺産分割は無効となるので十分ご注意ください。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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