3. 退職パッケージの増額交渉のポイント
企業側から提示されたパッケージをそのまま受け入れる必要はなく、増額を求めて交渉することもできます。ただし、交渉が決裂して退職勧奨を撤回されるケースや、労働審判や訴訟に発展するケースもあるので、匙加減が難しいところです。
交渉の出発点として、従業員は退職を拒否する旨を伝えた上で、自分を解雇できるだけの正当な理由はないことを主張すべきです。円満に自分を退職させるためには、パッケージを増額するしかないことを分かってもらう必要があります。
その上で、最終的にもらいたい金額を上回る金額を提示して交渉するのがセオリーとなります。企業側から減額を提案されることが多く、その際に譲歩の余地を残しておきたいからです。
パッケージの増額交渉に当たっては、弁護士を代理人とすることも考えられます。
企業側としては、対応に多くのコストがかかるので、労働審判や訴訟に発展することは避けたいと考えるのが一般的です。弁護士との交渉が決裂すると、労働審判や訴訟に発展する可能性が高いので、パッケージの増額を受け入れて交渉をまとめようと考える場合があります。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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