外資系企業では、退職してもらいたい従業員に対して「パッケージ」(特別退職金など)を提示することがあります。本記事では、主に外資系企業で見られる退職パッケージについて、提示される理由・金額相場・増額交渉のポイントなどをまとめました。
1. 外資系企業の「パッケージ」とは
「パッケージ(severance package)」とは、企業が従業員に対して退職を求める際に提示する退職条件です。一般的には、通常の規定よりも金額を上乗せした特別退職金などが提示されます。
特に外資系企業では、退職勧奨の際にパッケージを提示する例がよく見られます。
1-1. 外資系企業がパッケージを提示する理由
外資系企業が退職勧奨の際にパッケージを提示するのは、従業員を強制的に解雇することに伴うトラブルを避けるためです。
各国の法令では、正当な理由のない従業員の解雇が規制されています。
規制の内容はさまざまですが、特に日本では、労働契約法によって解雇が厳しく制限されています(=解雇権濫用の法理)。安易に従業員を解雇すると、従業員から不当解雇を主張され、企業側が不利な立場に置かれるおそれがあります。
これに対して、企業との合意に基づいて従業員が退職する場合は、原則として解雇に関する厳しい規制は適用されません。そこで企業は、パッケージの支払いと引き換えに、従業員に対して合意退職を求めることがあります。
従業員が退職勧奨を受け入れるかどうかは任意ですが、提示されたパッケージの内容が魅力的だと考えれば、受け入れて退職することになるでしょう。
その際、会社は従業員との間で退職合意書を締結し、その中で不当解雇などの主張・請求をしない旨の「清算条項」を定めることで、円満な合意退職が実現します。
2. 退職パッケージの金額相場
退職パッケージの金額は、純粋に企業と従業員の間の交渉によって決まります。したがって、金額に関するルールは特にありません。
円満な合意退職を実現するためには、パッケージの提示により、退職によるデメリットを上回るメリットを従業員に感じてもらう必要があります。具体的な金額はケースバイケースですが、給与の3か月分から12か月分程度に相当するパッケージが提示されることが多いようです。