一位はやっぱりあのカジノ……アジアのカジノ5選
さて、続けてアジアのカジノを含むIR施設を5軒、選出しよう。ちなみにIRはIntegrated Resortの略で、大阪などが誘致を目指している「統合型リゾート」のことである。
第5位 グランド・リスボア(マカオ)
(撮影2007年)
アジアカジノをけん引した亡きスタンレー・ホー氏をリスペクトして5位に。同カジノ系列店のバカラの最低賭金は低額に抑えられていた。音楽演奏を聞きながらお酒を飲み、カジノプレーに熱中しているプレーヤーを眺めるのは実に楽しかった。尚、外資系などが運営するマカオのカジノやIR施設は、美しい場所が多いことは補足しておこう。
第4位 オカダマニラ (フィリピン・マニラ)
(撮影2019年)
施設ロビーに設置されたラウンジのチョコレートケーキはカカオが上質で濃厚でおいしく、紅茶の香りも芳醇であった。国内の5つ星ホテル等でも、あれほど香り豊かな紅茶はなかなか味わえない。インド現地で提供される高級茶とほとんど同じだと感じた。カジノ区画はポーカー大会も開催されており、マスエリアはプレーヤーで活気があった。
第3位 ソレアリゾート&カジノ(フィリピン・マニラ)
(2019年撮影)
全体的に質が高い。ポーカールームはこじんまりしていたが居心地がよく、男性ディーラーの笑顔がチャーミングで技術も申し分なかった。同ルームの顧客はアジア人と欧米人が半分ずつくらいであった。同施設のカジノエリアにはアナログのゲームテーブルが387台、スロットは1972台が設置(2019年時)。大型タイプのIRである。
第2位 パラダイスシティ(韓国・仁川)
(2018年撮影)
日本から近い点が特に魅力的。東京からフライト約2.5時間、仁川空港から車で5分程度(約1㎞)。空港からこれほど近いカジノは少ないと思われる。カジノエリアではBGMは流れておらず、しっとりとした雰囲気で落ちつける大人空間であった。施設のモーニング・ブッフェで提供された野菜とフルーツが新鮮で、うれしい朝ごはんとなった。
第1位 マリーナベイ・サンズ(シンガポール)
(2016年撮影)
お馴染みのサンズ。日本での知名度もあり、アジアの中で第1位に。同施設のカジノでは最低賭金25 Sドルの「7アップバカラ」を体験した。結果は約30分で75 Sドルの勝ち。朝食エリアは解放感があり、朝日がさんさんと降り注ぎ、家族と質のいい時間を過ごすことができた。
日本のIRも世界に比肩することに期待
筆者は2019年末より広がったコロナ禍の前は、IR国際会議、カジノ関連セミナー、コンサル業務、執筆を通じて、日本のIR参入に興味を示した諸外国カジノCEOや経営陣と接する機会にめぐまれた。
カジノ施設の運営が成功し長らく経営のポジションに就いている方々は気さくで、誰に対しても高圧的な態度を示すことはなかった。友好的で思慮深く、そこには人を思いやる「優しさと強さ」が中心にある、と学ばせていただいた。
そして海外のカジノ施設で働く従業員は、幹部も含め、男女比は概ね半々くらいであった。国籍は多岐にわたり年齢幅も広い。そのような「スタッフの混合」が、世界の老若男女の顧客をその施設に多く誘致するのだろう。
2030年秋頃開業と言われている、日本のIRはどんな施設と運営になるのだろうか?
海外の大勢のVIPやゲストを日本版カジノに誘致できるよう、今後もカジノの啓蒙に取り組んでいきたい。
取材・文/かじのみみ
カジノライター/カジノコンサルタント
カジノ、ギャンブル、IR業歴31年。ディーラー歴25年。1992年より全国各地で開催された120件以上の「模擬カジノ」の企画、運営、ディーリング業に携わる。2008年から米系大手カジノ企業のVIPマーケティング・通訳・経理担当。2013年8月に同企業を離れフリーとなり、IRの誘致活動に従事。2020年以降は、カジノとギャンブル関連の執筆、スポットコンサル、通訳業に専念し、現在に至る。大阪生まれ、横浜・インドボンベイ育ち