GfK Japanから2023年1〜9月期のデジタル家電におけるEC(E-Commerce)市場動向が発表された。これは全国の家電・IT製品取扱店約1万店(量販店、専門店等)の販売実績データに基づくものだ。
23年のEC比率は前年同期と同水準に留まり、拡大傾向に一服感
23年1~9月のEC販売金額構成比は主要なデジタル家電分類で前年並み、もしくは微減となった(図1)。
イヤホンが市場の大半を占めるオーディオは、デジタル家電の中でもEC比率が高い。EC比率は20年のコロナ禍以降毎年拡大を続け、22年は4割を超えた。しかし23年に入り、EC比率は前年比2%ポイント減と拡大に一服感が見られた。
他にも、カメラなどのイメージング、PCなどのIT、テレビなどのビジュアルでも、19年以降EC比率は拡大傾向にあったが、23年のEC比率は前年並みに留まっている。
コロナ禍前の生活スタイルに戻りつつあるなかで、EC市場の拡大は踊り場に差し掛かっていると言えるだろう。
高機能・高価格な製品においてはEC比率が上昇
市場全体としてはやや落ち着いているEC市場であるが、高機能・高価格といったハイエンド製品の市場ではEC比率が拡大している。
例えば、65インチ以上の大画面液晶テレビにおいて、23年1~9月のEC比率は31%で、21年比で3%ポイント増加した(図2)。一方で65インチ未満の製品のEC比率は、21年比2%ポイント減の22%に留まっている。
また、ノイズキャンセリング機能付き完全ワイヤレスイヤホンをみると、高価格帯となる税抜2.5万円以上でのEC比率は21年比11%ポイント増の40%と拡大した。
こちらも2.5万円未満の価格帯においては21年比13%ポイント減の31%と縮小しており、対照的な傾向となっている。