商品力に自信があるからこそのSNS活用マーケティング戦略
coconeクレイクリームシャンプーが発売した2020年、まさにコロナ禍がスタートしたタイミングだった。「いわゆるInstagramのインフルエンサー戦略がうまくはまりました」と此田さんはいうが、フォロワー数の多いインフルエンサーに使ってもらって露出を拡大して終わり、にはしなかった。
「インフルエンサーも、自分たちのブランディングに関わってくるのですごく案件を選んでいますし、私たちもインフルエンサーの方に、お客様と同じように『coconeがいうなら』、『coconeの商品なら間違いない』、『coconeを使っている自分が好き』と思ってほしい。小さなことですが、インフルエンサーの方とも露出手段としてではなく、人として繋がりたいと思っており、紹介していただく商品をお届けした際に手紙を添えるなどしています。
お客様に対しても同じように、お問い合わせがあった際の対応などのコミュニケーション含め、信頼関係をつくることを社員一丸となって取り組んでいます」(此田さん)
「足していく」ことを訴求せず、ブランド理念を守ることを大切に
ロフトでベストコスメを受賞した coconeクレイクリームシャンプー スムース 3630円(380g)
商品力とSNS戦略がうまくはまり、大ヒット商品となったcoconeシリーズ。現在はオールインワンのクリームシャンプーとアウトバス用のヘアオイル、インバス用のヘアマスクを販売している。ヒット商品が出ると、同シリーズの商品を次々と広げるのが一般的なメーカーの常だ。しかし「それはしない」と此田さんはいう。
「今、色々なヘアケアアイテムを出せば売れるのはわかっています。しかし社員で話しあった結果、時間が貴重な方に向けて時短できるような商品をつくっているのに、アイテムを足していくことを訴求するのは嫌だという結論になりました。
商品は増やしても、仕上がりのニーズによって選べるクリームシャンプーのラインを広げるなど、あくまでも理想の髪に近づけるための選択肢を広げるというイメージです。
代表も売上だけを追求するのではなく、むしろ社員が成長するかどうかを大切にしています。社員も変化を楽しむ雰囲気があるので、例えば初めて卸をやってみて、今まで自社内で完結できていたことができなくなり、大変ながらも勉強なって視野が広がったように感じています。世の中は商品であふれて飽和状態ですが、coconeを選び続けてもらうための価値を提供すべく商品や情報を発信し、いっときのヒットではなく永続的に愛される商品・ブランドであり続けるように努力していきます」。
話を聞いて感心したのが、「この波に乗って一気に当てるぞ」という野心より、「永遠に愛される商品、ブランドであり続けるぞ」というある意味もっと大きく、長い目で追い続けなければならない野心を社員全体で共有していることだ。
今はどんなジャンルのメーカーも「ロイヤルカスタマーの創出」をマーケティング戦略に掲げている。「AIも活用するが、お客様と人として向き合うことを大切に、“人”だからできる対応を」というはぐくみプラスの姿勢は、ついテクノロジーに流れがちになるマーケティングにおいても、参考にすべき点があると感じた。
現在、coconeクレイクリームシャンプーはECのみならず、全国6000~1万店舗で購入が可能だ。前述のロフトほか、マツモトキヨシやウエルシアでも取扱いを開始しているので、興味をもった方はこの地に足のついた企業の送り出す商品を、一度試してみてほしい。
coconeブランドページ
https://www.hugkumiplus.net/cocone/
取材・文/安念美和子
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