■連載/阿部純子のトレンド探検隊
物価高と若い世代の中古品へのハードル低下の追い風を受け渋谷エリアに再挑戦
「KOMEHYO」(以下、コメ兵)は、渋谷 ZERO GATE1~4 階に「KOMEHYO SHIBUYA」(以下、渋谷店)をグランドオープンした。
コメ兵は2014年から「KOMEHYO 渋谷公園通り店」を営業していたが、立地や客のリユースに対するハードルの高さから2017年に撤退した経緯があった。
時代が移り、物価高対策や、Z・Y 世代の中古品へのハードルの低下等の要因から、リユース市場が拡大して状況から、20~30 代のZ・Y世代をターゲットにした「KOMEHYO SHIBUYA」で渋谷エリアに再挑戦することになった。
国内リユース市場は拡大し続けており、「リユース市場データブック2023」のデータでは、2022年のリユース市場規模は約2.9兆円と、5年間で約1.5 倍に成長。
市場拡大の背景には、フリマアプリの普及で若い世代に中古品への抵抗感が薄れたこと、環境意識の高まり、物価高による生活防衛のためのリユース利用増などがあり、2030年には4 兆円の市場規模になると見込まれている。
コメ兵が今年1月に実施したリユースに関連する全国調査では、リユース品購入への抵抗感が少なくなったと感じている人が43.5% で、特にZ 世代の2人に1人(51.3%)がリユース品を購入することへの抵抗感が少なくなっていることがわかった。
逆にブランド品を多く持っていたと思われるバブル世代は33.8%と、世代間での差が見受けられる結果に。
また、買い物をするときにリセールバリュー(売却するときの価値)を意識して購入する機会が増えた人が約3 割で、Z世代の男性が最も高く47.5%の人が増えたと回答した。
リユース品の購入経験は約3人に2人(66%)で、世代別では氷河期世代、ミレニアム世代に続き、Z世代が65%と3位に。リユース品に対しての抵抗感が薄くなったと感じている人では、8割以上がリユース品の購入経験があると回答している。
「貴金属や時計を扱う店舗が多かったことから、従来のコメ兵のメインユーザーは40代以上であり、将来、消費の中心になっていくZ・Y世代の20代~30代の方たちといかに接点を作るかというのが課題でもありました。
渋谷エリアは若い世代には人気の場所でありながらも幅広い年齢層が訪れ、ファッション、アートと、様々な文化が根付く街でもありますので、20代、30代の方にコメ兵を通じてリユースに触れることで、ブランド品の良さ、リユース品のサステナブルさやお買い得感などを体験していただきたいと考えています。
デジタル世代であるX・Y世代は、比較的安価な洋服などはフリマアプリを活用した売買に慣れていることもあり、リユース品に対するハードルは下がっていますが、高級ブランド品の売買となると、フリマアプリでは心配だと感じる方もいます。
安心・信頼が担保できるブランド品を購入する場合は、コメ兵のようなリアルなショップを活用していただき、気軽に売買できるものはC2Cアプリを利用するなど、アプリと実店舗をうまく使い分けていただくことで、リユース市場で共存できると考えています」(株式会社 コメ兵 広報部 横井一雅氏)