トドオナダは4000以上のWEBメディアをモニタリングできるPR効果測定サービス「Qlipper」のデータに基づき、生成AIを利用したフェイクニュースに関するウェブニュースの調査結果を発表した。
AI × フェイクニュース、ディープフェイクのウェブニュース推移
(Qlipperの収集記事)
■8/15〜11/14のまとめ
※PV=仮想PV:Qlipperが取得したサイト構造を基に独自エンジンで記事のページビューを予測・算出した数字
※記事ツイート:記事のURLを含むツイートの数
・11月の記事数は前半だけで10月の約1.6倍、PVは2.4倍に拡大している。
■ウェブニュースの記事数推移
■ウェブニュースのPV推移
・PVは岸田首相のフェイク動画が報道された11月4日に急上昇している。
■トレンドワードの推移
■8月〜9月は歴史の話題
8月から9月にかけてのトレンド1位は「関東大震災」。当時広まったとされるデマが起こした混乱を教訓に、AI技術の進歩に伴う現代のフェイクニュースの注意喚起をする記載が主となった。
■10月は海外での事件報道
10月中のトレンド1位はトム・ハンクス。自身の使われた広告について、本人に無断で作り上げられたAI画像であると警告したというニュースだ。
これは芸能ニュースだったが、ほかにハマスとイスラエルの軍事衝突に関するニセ情報の拡散、ロシアが対ウクライナ戦争で仕掛けているフェイクニュースなど、国外の深刻な事案の報道が目立つ10月となった。
■11月は国内の出来事をリアルタイム報道
11月に入ると、日本国内で悪質なフェイク動画の事例が目立って報じられるようになった。AIを関与させた偽動画の類が、過去や海外の出来事ではなく、現実的な脅威として報道されるようになっていった。
・日本テレビのニュース番組を加工した偽の投資広告の動画
これは10月下旬からYouTubeやSNSの広告として配信されており、11月に入って注意喚起が報じられた。11月1日に日本テレビ自身とNHKが取り上げ、その後インターネット関連の専門ニュースサイト『INTERNET Watch』、『産経ニュース』が報じて広がっていった。
・岸田文雄首相の声と映像を使ったフェイク動画
上記と同じく日本テレビの素材を使ったもので、SNS上で拡散。4日未明から報道が始まり、テレビ、新聞・通信社、スポーツ紙、ネットニュースなど幅広い媒体がニュースにしたことで記事数が急増した。
『Yahoo!トピックス』に掲載された記事もあって、当日はPVも極度に高くなっている(上記「ウェブニュースのPV推移」グラフ)。
またこの動画を受けて、AIによるフェイク動画の法的な問題を提示・整理する専門的な記事が増えていったことも特徴的な動きだった。
「首相」の語を含むニュースの推移
・TBS『サンデーモーニング』、実在画像をフェイクと報道
5日朝に放送されたTBS系情報番組『サンデーモーニング』が、10年ほど前から流通している画像を「生成AIで作られたフェイク画像」と紹介。スポーツ紙、芸能ニュースサイト、ネットニュースが中心になって取り上げて拡散した。
調査概要
調査期間/2023年8月15日〜2023年11月14日(Qlipperの記事確認日時)
調査機関/自社調査
調査対象/「AI」と「偽動画」「フェイク動画」「偽画像」「フェイク画像」「フェイクニュース」「フェイク情報」「フェイク音声」「フェイク映像」「偽ニュース」のいずれかの語を含むQlipperの収集記事。および「ディープフェイク」の語を含むQlipperの収集記事。
関連情報
https://qlipper.jp/
構成/清水眞希