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なぜ中学入試で格差や貧困問題が頻出するようになったのか?これからの時代に子どもたちに求められるスキルとは

2023.11.23

経済的に恵まれた環境だからこそ、考えてほしいこと

■「かわいそう」の先に作られる人間関係

実は、筆者は低所得世帯の子どもを対象にした無料塾を2014年から運営している。ボランティア講師が集まり、無料で中学生たちの日々の学習や受験をサポートする活動だが、毎年この活動についてインタビューをしたいと、複数の有名私立中学・高校の生徒から依頼が来る。

彼らは「どんな生徒が来ているんですか?」「ボランティアにはどんな人がいるんですか?」「行政に望むことは?」など、あらかじめ用意した質問をひととおり聞くとレポートにまとめ、学校に提出する。

数年前、インタビューに来た中学生に、私は「無料塾の話を聞いて、どう思った?」と尋ねてみた。すると、その生徒はこう答えた。

「かわいそうな子もいるんだなあって」

これには頭を抱えてしまった。私はインタビューを受ける間、この生徒に格差の「上」から「下」を観察して、別世界の子どもとして哀れむように導いてしまったのではないかと考えた。もしかしたら、無料塾を運営する私自身が、「上」から「下」に手を差し伸べるような心持ちでいたのではないか、と自問自答することになった。

2023年度に行われた武蔵高等学校中学校の国語の入試問題では、「利他」と「利己」の関係を論じた文章が出題されている。

利他的行為は時に相手と自分との間に優劣関係を生じさせ、上下関係をつくる「毒」になる。では利他的行為が真に利他となるのはどんなときか。そんな内容となっている。

設問としては読解力、論理的に物事を理解し説明する能力が問われるわけだが、このテーマは福祉に関わる人、企業でSDGsに関わる人や、NPO、ボランティア団体などに関わる人たちが常に意識しておかなければならない話題だ。社会の中で人と人との間に優劣関係をつくるのは、基本的には「上」にいる(と思い込んでしまう)側の人間なのである。

■「上下」の立場を取り外して世の中を見てほしい

こうした経験から、筆者は今年から、私立の中高生のインタビューを受ける際には、次の3点についてよく考えてから来ていただくようにお願いをしている。

●無料塾の子どもたちは〝自分たちとは違う世界の子〟ではありません
●観察対象として見るのではなく、自分に関わりのある社会の出来事としてとらえてください
●無料塾の生徒たちを「かわいそうな子どもたち」とくくるのは間違いです

大人でも難しい課題だとは思うが、せっかく社会課題に目を向けてくれるのであれば、他人事として単に知った事象をレポートに書くだけでなく、自分なりに思いを寄せて、自分のあり方はこれでいいのか、社会がどのように変わるべきなのか、考えてみてほしいのだ。

期待されているのは世の中の「当たり前」に疑問を持つ力

冒頭の「甘いモノには税金をかけて、国民の健康増進につなげよう」という意見への反論を求められた問題では、一見真っ当に感じられる論の中に課題を発見し、別の論を構築するスキルが問われている。

こうした課題発見・解決能力や論理的思考力は、社会に出る上で当然求められるスキルではある。

と同時に、各校の過去問で取り上げられたテーマを見てみると、単にテクニックがあるかどうかを見ているのが中学受験ではないようだ。

「自分たちの当たり前は、当たり前ではないのかもしれない」と客観的に考えてみることや、経済力や偏差値によって「勝ち組・負け組」「幸・不幸」が決まるという「当たり前のように思える」考え方にも批判的な目を向けてみてほしい、そんな願いが各校の出題に込められているのではないだろうか。

当たり前に思える物事の中に課題を見いだす力が身についていけば、世の中の当たり前を基準に物事をとらえることこそが非論理的であり、差別の助長や格差の固定化を促すものであることに、気付けるかもしれない。

文/大西桃子
1980年生まれ。出版社3社勤務を経てフリーのライター、編集者となる。2014年4月より東京都中野区で、主に低所得世帯の中学生を対象とした無料塾を創設、運営。同区内の子ども食堂の運営にも関わる。

育児ハックの決定版!育児悩みを解決する意外なヒントが満載の書籍「子育てブレスト」発売中

本書はクリエイティブディレクターの佐藤ねじさん、手づくりおもちゃ作家の佐藤蕗さんご夫妻が実践してきた子育てアイデア集です。

予約開始と同時にAmazonで注文殺到! “意外な解決作”の数々に「真似したい」「楽しすぎ」という声が多数寄せられています。

SNSで24万いいねの「車窓忍者」、18万いいねの「偉人漫画モビール」、お小遣いが欲しくて家庭内起業した「小1起業家」など、佐藤ご夫妻はTwitterに育児アイデアを投稿し、数々のバズを起こしてきました。

本にはそれらはもちろん、すぐに真似できる初公開のアイデアを多数収録。

0歳~小学校高学年の子育て悩みに対する“意外な解決策”を67ご紹介します。

寝ない、登園しない、食べない、着替えない、宿題をしない…。お子さんのいるご家庭なら誰もが頭を悩ませる“子育てあるある”にどう対処するか。クリエイティブの手法を育児に活かした新しい解決策が勢揃いです。

アイデアを真似するうちに、「早くして」「勉強しなさい」と言わない発想転換も身につきます!

今回は本書に収録するアイデアを一部ご紹介します。

SNSで話題になったアイデアを多数収録

他にはない育児アイデアは見ているだけで楽しいものばかりです。

◎後追いが激しい1歳児に… →母親の等身大パネル
◎ギャン泣きする赤ちゃんに… →偉人漫画の1コマのようになるモビール
◎お小遣いが欲しい小1に… →親に900円借金して「家庭内起業」
◎車や電車での移動時に…→車窓を背景に忍者が走る「車窓忍者」

すぐ真似できるアイデアも満載

朝の登園しぶり、電車での大騒ぎ、食べ物の好き嫌いなどの困りごとをアイデアで解決。

◎保育園に行かない… →「運動会の曲でお着替え競争」
◎電車で騒いでしまう… →動いた方が負けの「電車ヨガのゲーム」
◎イヤイヤ期、ご飯をたべない… →「“つまみぐいレストラン”だと喜んで食べる」
◎親は休みたい、子どもは遊びたい…マリオのBGMを口ずさんで背中踏みを遊びにする「マッサージマリオ」
◎ゲームで時間を溶かす小4に… →「Googleカレンダー」を教える

ビジネスのテクニックを育児に持ち込む

佐藤ねじさんは、デザインや企画を手掛けるプランナー。これらのアイデアは、子どもを「クライアント」と捉えることで生み出されているといいます。

「商品が売れない」「ブランドの認知度を上げたい」といったクライアントからの「課題」のように、育児の困りごとを捉え、ユニークな解決作が誕生しています。本ではその発想法もご紹介しています。

たとえば、「保育園に行かずに困っている」ときのゴールは「子どもが保育園に行く」。

でもそれを解決できないなら、ゴールを分解して考えます。

「子どもが保育園に行く」の手前の、「玄関から外に出てもらう」をゴールとすれば、解決策が浮かぶかもしれません。

育児の困りごとを解決するアイデアから発想法までわかる一冊。

これぞ育児ハックの決定版!ぜひご覧ください。

子育てブレスト その手があったか!67のなるほど育児アイデア集』(小学館)
著/佐藤ねじ・佐藤蕗
定価:1650円(税込)

絶賛予発売中!
www.amazon.co.jp/dp/4093891230

【著者プロフィール】●佐藤ねじ
1982年生まれ。プランナー/クリエイティブディレクター。面白法人カヤックを独立後、2016年ブルーパドルを設立。WEB・アプリ・商品やお店などの企画とデザインを行う。主な仕事に「ボードゲームホテル」「隠れ節目祝いby よなよなエール」「アルトタスカル」「不思議な宿」「佐久市リモート市役所」「小1起業家」「劣化するWEB」など。著書に『超ノート術』(日経BP)がある。

●佐藤蕗
1982年生まれ。手づくりおもちゃ作家。建築設計事務所勤務を経て、第1子の出産を機にフリーランスに。育児をしながら作っていたおもちゃが反響を呼び、デザイナーやイラストレーターとしての活動のかたわら造形作家として、現在は雑誌や新聞、WEBなどで作品を発表している。著書に『ひらめいた! 遊びのレシピ ふきさんのアイデアおもちゃ大百科』(偕成社)など。

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