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あなたの会社は大丈夫?「パワハラ防止法」の施行で企業に義務化された対策とは

2023.11.26

「パワハラ防止法」が施行されたことで、企業でパワハラ対策が義務化されました。

パワハラ防止法は、実は通称です。正式名称を「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」といい、略して「労働施策総合推進法」と呼ばれることもあります。

同法はセクシャルハラスメント防止対策などの大幅強化が図られ、2020年6月1日から施工され、まずは大企業が対策を義務化されました。

さらに、2022年4月1日から、中事業主も義務化されています。

【参考】職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!|厚生労働省

では、果たしてその対策とはどのような内容なのでしょうか? また、自分の身を守るためにも、個人で行うべき対策もご紹介します。

「パワハラ防止法」によって企業の対策が義務化された

2020年6月1日に「パワハラ防止法」(労働施策総合推進法)が改定施行。〝雇用管理上必要な措置を講じること〟が追加され、企業のパワハラ対策が義務化されることになりました。

【参考】パワーハラスメント対策が事業主の義務となりました! ~セクシュアルハラスメント等の防止対策も強化されました~

企業が行うパワハラ対策の具体的な内容は?

職場でのトラブル解決を促すため、企業(事業主)が行うべき義務とはいったいどのような内容でしょうか?

厚生労働省では、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」として、2020年6月1日に適用された、「令和2年厚生労働省告示第5号」を公示しています。

その中にある「3 事業主等の責務」内「⑴ 事業主の責務」をご紹介します。

「事業主は、職場におけるパワーハラスメントを行ってはならないことその他職場におけるパワーハラスメントに起因する問題(以下「パワーハラスメント問題」という。)に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者(他の事業主が雇用する労働者及び求職者を含む。(2)において同じ。)に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる同条第1項の広報活動、啓発活動その他の措置に協力するように努めなければならない。(以下、略)」

と記載されています。

つまり、企業側はパワハラに関して労働者の理解を深めるために、研修やセミナー、啓蒙活動などを実施するよう努めることが求められているのです。

【参考】○ 事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)【令和2年6月1日適用】|厚生労働省

労働者側は個人的にパワハラ対策できる?

それでは、労働者はパワハラ防止対策として、行うべき義務はあるのでしょうか?

前述した「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」、「3 事業主等の責務」内「⑵ 労働者の責務」で労働者の責務も明文化されています。

「労働者は、パワーハラスメント問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる4(パワーハラスメントを防止するため、雇用管理上行うべき措置)の措置に協力するように努めなければならない。」

つまり、会社が行うパワハラ対策関連のセミナーなどに参加するなど、労働者側は、パワハラに関して積極的に理解することが求められています。

パワハラとは何か? 実際にあった判例をご紹介

ここで、パワハラとは何かを知るためにも、実際にあった会社内でのパワハラの例を厚生労働省が運営するサイト「明るい職場応援団」からご紹介します。

上司から部下へのパワハラ「大裕事件」

2014年4月11日に大阪地裁が判決を下した「大裕事件」は、上司のパワーハラスメントが原因で休職したものとして、「地位の確認」と「損害賠償」を請求した事件です。

機械の製造販売などを業務にする会社へ勤務していた原告は、会社から休職期間の満了により自然退職になったと通知を受けました。

しかし、実際は、上司からパワハラを受けたことが原因で、そのため、適応障害を発症し休職していたものであると、原告は主張しました。

原告は、会社に対して雇用契約上の「権利を有する地位」にあることの確認と、就労が不可能になった期間の「賃金の支払い」を求めました。そして、上司に対し、不法行為に基づく「損害賠償」を、会社に対し、使用者責任に基づく「損害賠償」を請求したのです。

判決では、上司のパワーハラスメントを一部認定。さらに、パワーハラスメントと適応障害との因果関係を肯定した上で、原告の「地位確認」を認容。そして、「賃金請求」を全額命じ、慰謝料については原告の請求額の一部の支払いを命じました。

【参考】【第25回】「上司のパワーハラスメントが原因で休職したものとして地位の確認と損害賠償を請求した事件」 ― 大裕事件|あかるい職場応援団|厚生労働省

※データは2023年11月上旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。

文/山田ナナ

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