ジャッジ
Xさんの勝訴です。裁判所は「合意退職は成立していない」と判断。
[理由]
・退職の意思表示については何の書面も作成されていない
・Xさんは出勤しなくなったあとも寿司店のカギを持っていたが、店側がXさんに返還を求めたことはなかった
・店に私物を置いていた(手帳、ドライヤーなど)
・4月10日のTEL、5月10日のLINEで 退職の意思表示をしたことを強く否定していた
▼ Xさんがもらえたお金は……
ざっと300万円です(月12万円/R2.4~R4.7)。これは「バックペイ」と呼ばれています。
判決で「まだ従業員としての地位あり」と認定されれば過去にさかのぼって給料がもらえるんです。地裁では0円でしたが、高裁では300万円にハネ上がりました。
今回のケースではザックリいえば「Xさんは団体交渉で復帰を要求しているし会社はR2.4以降は新たに従業員2名も雇っているんだから、R2.4以降にXさんを働かせなかったのは会社の責任」ということで、R2.4~判決確定日までの給料支払いを命じました。
Q.
裁判中に転職してしまった場合は、どうなるんでしょうか?
A.
転職したとしても基本、6割の給料をもらえます。ただし「元職場に戻る意思がある」と認定できる期間分だけです。裁判官が「もう戻るつもりないよね」と認定した時点以降はもらえません。でも、かなりデカイですよね。会社からすれば衝撃です。
会社は雇用関係の終結でトラブれば今回の事件のようにドロ沼に陥った上で多額の賠償の支払いを命じられます。飛んだかもしれないバイトに対しても慎重な退職手続きを踏むことが大切ですね。雇用関係と不倫関係の精算はチョー慎重に。
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取材・文/林 孝匡(弁護士)
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