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元官僚が挑戦する新潟県・燕市での新しい共助システム「宮町食堂」と「つばめベース」

2023.11.20

我々はなぜ、美味しい食事をとりたいのだろうか。なぜ、楽しいことが好きなのだろうか――。無論、自分自身がそれによって幸せを感じられるからに違いない。それが、これまでの我々の“当たり前”の価値観だった。

2023年11月1日、新潟県燕市に拠点を置く特定非営利活動法人フードバンクつばめ(以下、「フードバンクつばめ」)は「食べれば食べるほど、楽しめば楽しむほど、誰かを救うことのできる」施設を開設した。

フードバンクつばめが運営する食堂や駄菓子屋、カフェでの事業収益はすべて、子ども食堂や子どもの学習支援、困窮世帯の生活支援に充てられる。大人が食堂でお酒を飲めば飲むほど、もつ煮込みを食べれば食べるほど、地域の子どもたちの居場所づくりや地域の人々への食糧支援ができるというわけだ。

そんな新たな共助システムを立ち上げたフードバンクつばめの取組とその背景、そしてそれを実現まで至らしめた我々の類まれなチームについて、これから皆さんにご紹介したい。

フードロス対策だけでなく複合的な支援を展開する組織へ

フードバンクつばめは、新潟県燕市に本拠地を置くNPOで、2021年の秋に設立した。発起人は、地元中小企業の社長である青柳修次さん。コロナ禍において「子ども食堂」や「フードバンク」の活動を知り、また、新潟県の自殺率が全国のなかでも高いことを憂いたことが発足のきっかけだった。発足にあたっては、誰もが安心して暮らせる共生社会の実現や子どもの健全育成に寄与することが団体の目的とされた。

新潟県燕市は日本有数の金属加工産業の集積地かつ、田園都市でもある

特定非営利活動法人フードバンクつばめHP
特定非営利活動法人フードバンクつばめ | 新潟県燕市のフードバンク (foodbank-tsubame.org)

なお、「フードバンク」と名の付く活動団体は、農林水産省のHPで紹介されている団体だけでも全国で252団体(令和5年9月30日時点)ある。食品企業の製造工程で発生する規格外品などを引き取り、福祉施設等へ無料で提供する仕組みなどを担う団体のことだ(※)。

農林水産省HPフードバンク:農林水産省 (maff.go.jp)

話を「フードバンクつばめ」に戻そう。フードバンクつばめは、そうしたフードロス対策に貢献するだけではない。前述のとおり、子どもの健全育成などについても設立の理念においてうたっている。既存のフードバンク活動の域を超えた、複合的な支援組織なのだ。

食事の枠組みをこえた”新たな共助システム”へ

団体の発足以来、フードバンクつばめは約2年間に渡り、支援対象の方々に食料品などを提供するフードパントリーをはじめとした多くの取組を行ってきた。しかし、青柳理事長の描く青写真は、それにとどまらなかった。

燕市内の小さな商店街にできた「宮町食堂」

青柳理事長は「食料品の提供だけにとどまらず、子ども食堂や子どもの居場所も整えたい」と考えた。それだけではない。子どもたちだけでなく、ひとり親家庭など、生活資金の苦しい世帯の親御さんたちにも、さらなる救いの手を差し伸べられないかと思慮した。――それら多岐に渡る支援が複合的に展開できる拠点施設をイチからつくる。それが青柳理事長の掲げたフードバンクつばめのミッションだった。それに直結する取組こそが、今回新たに団体が開設した「宮町食堂」であり「つばめベース」だ。

子どもたちの遊び場「つばめベース」。卓球台やWi-Fi、漫画本、レトロゲーム、などを揃えている。宮町食堂のすぐそばに隣接。

宮町食堂とつばめベースが手掛けること

宮町食堂とつばめベースの施設自体は、フードバンクつばめが約1年間の歳月をかけ、燕市内の商店街でそれぞれ空いていた店舗をDIYによって改修した。これらの施設で行う事業はそれぞれ以下のとおりだ。

フードバンクつばめの新拠点施設で取組む事業の一覧(事業開始に向けて準備中のものも含む)

どうだろう。かなりの数の事業数だと感じる人も多いのではないだろうか。そして、これら多くの事業を実施していくため、フードバンクつばめには類まれな「チーム」が必要だった。

官僚を辞めてUターンした私

自己紹介が遅れたが、私は総務省の役人を辞めて地元・燕市に返ってきたUターン組の31歳の男性だ。総務省では、地域社会のDX化にウン千億円かかるだとか、地方の保健衛生にはウン兆円かかるだとかを議論していた。しかしいまの私は、「ビッグカツ」を30円で売るべきか、40円で売るべきかで悩んでいる。

地元・燕市に戻ってきた私だが、フードバンクつばめの活動はもとより、燕市から日本を盛り立てるべく、多くの活動に挑戦していくつもりだ。燕市には魅力あふれる“ネタ”がたくさん積もっている。そうした活動の中で、フードバンクつばめに携わる私以上に“強烈な”メンバーを紹介したり、もっと面白い活動をしている人間を紹介する機会もあると思うが、それはまたこれからの別稿にて、燕市のまちおこしの様子とともにご紹介したい。

★これからの物語をつくるフードバンクつばめ“チームでこぼこ”のメンバー

文/玉橋尚和(タマハシナオカズ)
特定非営利活動法人フードバンクつばめ理事。高校卒業後、航空自衛隊に入隊。その後、慶応義塾大学、京都大学公共政策大学院、総務省を経て、現在は新潟県燕市に拠点を置くNPOフードバンクつばめ理事。総務省時代は新型コロナ対策や地方財政制度に携わる。2023年11月、日本初となる「食べれば食べるほど、楽しめば楽しむほど、誰かを救うことのできる」施設、「宮町食堂」と「つばめベース」の立ち上げに参画。

イラスト/齋藤和実

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