東京・三軒茶屋にあるロック・バー「スメルバー」で開催したレッド・ツェッペリンのLPレコード聴き比べ、『Ⅰ』に続く第2ラウンドは『Ⅱ』で「胸いっぱいの愛を」を比較試聴する。レコードは僕の所有する2014年発売のジミー・ペイジによるリマスター盤、UKマト2のWRECK、同MAID、USマトA(SP工場)、USマトA(PR工場RLカット)だ。
前編はこちら
何とも奥が深いマト1ワールド!レッド・ツェッペリン「Ⅰ」「Ⅱ」のレコード聴き比べトーナメント
『レッド・ツェッペリンⅠ』。 11月5日日曜日、東京・三軒茶屋のロック・バー「スメルバー」で、レッド・ツェッペリン『Ⅰ』『Ⅱ』のレコード聴き比べ会を行った。レコ...
アナログレコート対CD、勝つのはどっちか?
1回戦第1試合は、2014年リマスターLPと「スメルバー」所蔵の音源が同じ2014年リマスターCD対決。店のアナログプレーヤーとCDプレーヤーは同クラスの価格帯だから、ハンディなしの真っ向勝負となる。これまで何度かリマスター『Ⅱ』のアナログとCDの対決を試みてきたが、アナログはLINNの500万円級プレーヤー、CDは普及価格帯のプレーヤーを使用と、圧倒的な差があるからだろうか、いつもアナログの完勝だった。
僕も初体験の同格再生機による対決は断然CDの方が良く、聴き比べ参加者8名全員がCDに軍配を上げた。とにかく低音が素晴らしい。ベース音が力強く響き渡る。アナログ崇拝派の僕にも依存なしの結果だが、次からのCDの対戦相手は1969年発売のマト1レコード、CDの活躍もここまでだろう(マト1ことマトリクス1についてはこちらを参照)。
第2試合のレコードはともにUKマト2だが、マト2ながら事実上はマト1となる。マスターテープからカッティングエンジニアがレコードの溝を切り、その音をアーチストや関係者が聴く。これでよければGOで、ラベル外側にマト1と刻印される。NOならば、カッティングをやり直す。これがマト2だ。『Ⅱ』ではマト2がGOとなり、市場に出る初版となる。つまりマト2が初版で、事実上のマト1だ。ちなみにUKの『Ⅲ』は、マト5がマト1だ。5回もやり直した渾身の作品を評論家に散々貶されて、ジミー・ペイジは相当悔しかったことだろう。
それはさておき、WRECKとMAIDとは、B面2曲目のラベル表記のことだ。「LIVIN’ LOVIN’ MAID(SHE’S A WOMAN)」が正式な曲名だが、最初期のレコードのラベルにはなぜか「LIVIN’ LOVIN’ WRECK(SHE’S A WOMAN)」と印刷された。WRECKは難破とか破壊という意味だ。基本的には同じマトリクスだが、より古い=最初期とされるWRECKの方が値段は高い。10年近く前に僕が買った時はWRECKが約4万円、MAIDが1万6千円ほどだったが、今はもっと高いはずだ。比較試聴結果はWRECKの圧勝で、これはレコードのコンディションによるのか、ややこしくなるから説明は省くが同じマトリクスながらスタンパーが違うからかは不明だ。
第3試合はUSマトA(SP工場)vs USマトA(PR工場RLカット)だ。アメリカにはいくつものレコード工場があり、工場により音が違うとされる。嘘か誠か西海岸の工場の音はカラッとしていて、東海岸は湿った音という説まである。この時期のアトランティック・レコードのメイン工場はPR工場で、ここのレコードが一番音がいいと言われるので、これだけでもPR工場盤が有利だ。しかも泣く子も黙るRLカット。