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〝ゲーム愛〟でソリューションを提案する「デンツウゲームセンター」が描く未来

2023.12.08

20239月に発足した「デンツウゲームセンター」は、ゲームを対象とした電通グループの横断的なクリエイティブチームで、ゲームをこよなく愛するおよそ200名の人財で構成されている。このチームを活用することで、案件となるゲームタイトルやジャンルに精通した人財をいち早くアサインし、確度の高いマーケティングや広告コミュニケーションができるようになるという。立ち上げから携わっており、チームの中核を担っている伊藤光弘さんに話を聞いた。

20239月に発表

 「ゲーム愛」がないと広告として通用しない時代に

――デンツウゲームセンターは、どのようなチームなのでしょうか。

伊藤:電通全社内におけるクリエイティブ部門の人財の中から、ゲームへの理解が深い人財を集約し、部署横断的に活躍するための仮想のチームです。単独の部署ではなく、特定の業務を遂行するためのものではありませんが、ゲームを題材にしたクリエイティブな作業を行なう際に、そのゲームタイトルやジャンルに詳しい人財を部署の垣根を超えて迅速にアサインすることを目的としています。

――様々な業界の広告やマーケティングを手掛けていますが、なぜその中からゲームに特化したチームを立ち上げようと考えたのでしょうか。

伊藤:ゲーム関連の案件は現在非常に多くなってきています。そしてゲーム業界は、特にファンの熱量が高い業界です。ゲームタイトルのプロモーションはもちろん、別業種の企業がゲームを活用したプロモーションを打つ場合でも、IPへの深い理解がないとやりきることは難しい。そのゲームへの愛を感じられるようなものでないと、ファンにすぐ見抜かれてしまいます。

作り手側にも同様の熱量を求められている中で、需要が拡大しているゲーム案件に対応するため、スピード感を持って最適な人財を確保することが急務でした。

伊藤光弘(いとう・みつひろ)さん
株式会社電通
CXクリエーティブ・センター
CXクリエーティブ・ディレクション4
クリエーティブ・ディレクター

社内の〝チャンスロス〟を無くしたい

――これまでもゲームに関連する案件は数多くあったと思います。従来の体制ではできなかったことがあるのでしょうか。

伊藤:当社では、様々な業種・業態のクライアント企業と仕事を行なう関係上、守秘義務の観点から、担当企業様ごとに部署が分かれています。ゲーム関係企業も同様なのはもちろんなのですが、例えば飲料メーカーが若い世代向けにゲームを活用したマーケティングを行ないたい、といった相談があった際にも、基本的にその部署内にいる人財で施策を考えてきました。

この体制は上記の理由で効果的である一方、部署を横断した人財の活用がし難いというのが課題でした。そのゲームが大好きで深い知識を持っているのに、別部署であるためにそのプロジェクトに入れないケースや、逆に案件を受け持ったものの、そのゲームへの知識が薄く、知識のある人財が欲しいのに誰に声をかけたらいいか分からない。もしくは、向いていそうな人が別部署だったために声をかけ辛い、といったことがありました。こうした機会損失を減らすことで、より効果的な制作体制を構築しようと考え、デンツウゲームセンターを立ち上げました。

――5000人以上いる従業員から、どのようにしてゲーム好きな人財を探していったのでしょうか。

伊藤:全社ということではないですが、全クリエイティブ部門に向けにアンケートを実施しました。好きなゲームタイトルやジャンルはもちろんなのですが、「好きなゲームの魅力について語ってください」のように、ゲームに対する思いをぶつけられるような設問も設けています。全部で20問くらいあって、回答するのは結構大変だったと思うのですが、200名ほどのゲーム人財が集まりました。社内で行なう簡単なマーケティング用のアンケートに比べて回答率はかなり高く、回答の熱量もとても高いものでした。「ゲームの公式大会で上位入賞」や「ゲームエンジンの知識を持っている」といった回答もあって、実はこんなにゲームに特化した人財がいるんだなと驚きました。

社内アンケートの結果、届いたゲーム好き社員たちの声の例

これだけ熱量を持った人が集まれば、単にゲーム広告案件における課題解決の領域にとどまらず、社内外に向けた一つのコミュニティとして出来ることがあるのではないか。そのためにも、このアンケートの結果自体を集約し、案件ごとに適切な人財をアサインするためのデータベースとして活用することにまず取り組みました。

 今後は広告だけにとどまらない存在を目指す

――アンケートをもとに構築したデータベースは、具体的にどのように活用されているのでしょうか。

伊藤:現在進行系で進んでいるものだと、海外を拠点とするグローバル企業の『Roblox』などのプラットフォーム上でPRするという施策に、チームメンバーの一部が携わっています。海外担当の社員が窓口になっているのですが、国内の市場や社内体制をすべて把握しているわけではありません。またゲームへの知識が足りていないと、そもそもゲーム内でそういった施策が可能かの判断ができませんし、可能だったとしても、それが本当にファンの心を掴めるのかという心情的な部分の評価も難しいでしょう。そこでデンツウゲームセンター経由で人財をアサインすることで、技術的なサポートはもちろん、ファンの心情に寄り添った意見を提案したりできるようになります。

また、国内の非ゲーム企業でも同じようにゲームを活用した広告施策の依頼も多く、チームからアサインした社員がクリエイティブ担当として携わっている事例は増えています。また、9月にデンツウゲームセンター発足のプレスリリースを出したことで、チーム宛にゲーム案件の相談をいただくことが増えており、徐々に存在感は出せているのかなと感じますね。

自身の〝ゲーム愛〟について語る伊藤さん

――今後はこのチームをどのように発展させていきたいと考えているのでしょうか。

伊藤:ゲーム関連は特に広告の作り手側にも〝ゲーム愛〟が求められていると感じています。その期待に応えられるように、まずは実績を重ねてノウハウを積み上げていきたいです。プロジェクトを通じて、少しずつクライアントやファンからの信頼を得ることで「デンツウゲームセンターが手掛けたものなら大丈夫だろう」という安心感へと繋げていくことが一つのゴールだと考えています。

その先の展望として、広告案件だけにとどまらず、コミュニティそのものをより大きく押し広げるためのチームとして機能させていきたいです。チーム名を〝ゲームセンター〟としたのもそれが理由です。年齢や立場を問わず、ゲームが好きな人達がゆるく繋がれる場所にしたい。まずは社内としてその立ち位置を確立させて、ゆくゆくは社外へ、そして幅広くゲームファンを巻き込んだものへと育てていきたいです。

***

電通が新たに立ち上げた「デンツウゲームセンター」は、従来の広告会社としての枠組みを超え、ゲームを愛する社員のみで構成されたチームだ。社員自身がいちファンとして携わることで、クライアントとはより綿密なコミュニケーションが可能となり、ファンの心に響く広告が作れるようになる。

eスポーツやストリーマーなどの浸透で、ゲームは単なる趣味にとどまらず、若い世代を中心に一つのカルチャーへと成長を遂げつつある。ゲーム広告に求められているものも大きく変化している中、デンツウゲームセンターのファンに寄り添った取り組みが持つ意義は大きい。動き出したばかりのプロジェクトなので、まだ世に出せない部分も大きいが、これから徐々にその存在感を増していくことだろう。

取材・文/桑元康平(すいのこ)
1990年、鹿児島県生まれ。プロゲーマー。鹿児島大学大学院で焼酎製造学を専攻。卒業後、大手焼酎メーカー勤務などを経て、20195月から20228月まで、eスポーツのイベント運営等を行なうウェルプレイド・ライゼストに所属。現在はフリーエージェントの「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズのプロ選手として活動中。代表作に『eスポーツ選手はなぜ勉強ができるのか』(小学館新書)。

撮影/篠田麦也

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