全国で行なわれる祭の廃材をアップサイクル!ものづくりを通した地域共創・SDGs企画「日本の祭×Creema アップサイクルプロジェクト」とは?
2023.11.14■連載/阿部純子のトレンド探検隊
ハンドメイドマーケットプレイス「Creema」を運営するクリーマでは、全国各地の祭で生まれる廃材に、クリエイターの技術と創造力で新たな価値を生み出し、新たな視点から祭の魅力を伝え、伝統ある祭をサステナブルな形で未来へと受け継いでいくことを目指す「日本の祭×Creemaアップサイクルプロジェクト」を実施。第1弾「青森ねぶた祭」、第2弾「高知・よさこい祭」、第3弾「秋田竿燈まつり」とのコラボレーションが行われている。
祭が終わると生じる廃材を使って新たなクラフト作品が生まれる
第1弾の「青森ねぶた祭」では青森市とタッグを組み、今年8月に行われた青森ねぶた祭の2台のねぶたから回収した和紙を活用した作品アイディアを募集、アップサイクル作品24点が商品化された。Creemaの特設サイト限定で展示・販売を行っている。
青森ねぶた祭は東北三大祭のひとつで、1980年に国の重要無形民俗文化財に指定されている。起源には諸説あり、一説では、奈良時代に中国から渡来した「七夕祭」と、「眠り流し」と呼ばれる災厄を追い払う風習が習合したと言われている。
毎年8月2日~7日、勇壮な大型ねぶた20数台が、ねぶた囃子の音色に合わせた踊り手の跳人(はねと)の乱舞とともに青森市内を練り歩く夏の風物詩として、200万人を超える人出でにぎわう。
「祭の期間中に運行されるねぶたは、題材の選定から始まり、下絵描き、骨組み、紙貼り、書割、ろう書き、色付けなどの工程があり、構想から完成するのにほぼ1年かかる精魂込めて丹念に制作されるものです。
今年も23台の大型ねぶたが出陣しましたが、その中で入賞した数台はねぶたミュージアム『ねぶたの家 ワ・ラッセ』で1年間展示をされることになっています。
ただ、それ以外の20台弱のねぶたは、お祭が終わった翌日8月8日に一気に解体されてしまいます。その取り壊される直前のねぶたから、今回は和紙を切り取ってクリエイターのみなさまに提供いたしました。
過去にもねぶた制作者がねぶたの一部を切り取ってクラフト作品として販売したこともありましたが、このような多種多様なクリエイターに制作されるのは今回が初めてです。
本プロジェクトは、ねぶたの廃材を再利用して新たなクラフト作品の制作、アップサイクルに取り組むことで、ねぶたの新たな魅力や価値の創造につながる非常に素晴らしい事業であると思っています。
私たちは世界最高のペーパークラフトアートである青森ねぶたの技法をアートとしてさらに進化させることに取り組んでおり、本プロジェクトを通じて、さまざまな廃棄問題について考えるきっかけになると考えています。また、華やかな祭の表側だけではなく、製作者であるねぶた師の後継者不足という問題も含め、祭そのものが抱える課題解決の一助になるのではないかと期待しています」(青森市長 西秀記氏)
「Creemaのクリエイターに、ねぶたの和紙を活用したアップサイクル作品のアイディアを募集したところ、100を超えるアイディアが集まりました。提供できる和紙に限りがあるので、すべてのアイディアを形にすることはできませんでしたが、今回完成した24作品は、Creema限定でオンライン販売されるとともに、特設ページやブログ記事・SNS等での紹介を通じて広く発信されるほか、青森のアンテナショップ『AoMoLink赤坂』、2024年の青森ねぶた祭、クリエイターの祭典『ハンドメイドインジャパンフェス』でも展示されます。
様々な社会課題がある中で、課題解決型のプロジェクトはとても意義があると思いますが、やるのであれば情報、発信がどれだけきちんと人に届けるかというのが重要であると考えています。
弊社はこれまで培ってきた Creema のプラットフォーム基盤や発信力、自治体との連携ノウハウを活かし“ものづくりによる地域共創・社会課題の解決”に取り組んでいます。
たくさんのクリエイターと連携して、ここまで多くの人に見ていただけるような機会を作るのは自分たちにしかできないことではないかという自負もあり、チャレンジさせていただきました」(クリーマ 代表取締役社長 丸林耕太郎氏)