裁判所が下した判断は?
争点は、高校がセクハラを防止する措置を講じていたのか、です。裁判所は【事前措置】と【事後措置】に分けて検討。
▼ Y教頭の件
裁判所は「どちらの措置も講じていた」として賠償請求を認めませんでした。
■ 事前措置を講じていた
〈理由〉
・セクハラ防止を啓発する文書を職員に配布していた
・セクハラ防止のための研修会などが行われていた……etc.
■ 事後措置も講じていた
〈理由〉
・校長は事実確認を行い、教頭がXさんに謝罪した場で教頭への指導を行っている……etc.
▼ 同僚Zさんの件
裁判所は「事前措置を講じていない」として50万円の慰謝料請求を認めました。
■ 事前措置を講じていない
〈理由〉
・講師に対してセクハラ防止を周知徹底していない……etc.
■ 事後措置は講じている
〈理由〉
・Xさんからの報告を受けて事実確認し、Zさんに注意処分が行われている
・XさんとZさんが接触することがないよう所属校の校長の間で調整する措置がとられている……etc.
補足
民間の会社でも【事前措置】と【セクハラ被害報告を受けてからの事後措置】をしていなければ、セクハラ被害者が会社に対して損害賠償請求できます。
以下、感想。同僚Zさんの押し倒しは論外ですが、教頭のカラオケセクハラは世の中に相当数あるでしょう。
男性陣は酒が入ると危険ですね。酒の量に比例して部下女性の嫌悪感は増しているので、カラオケに行く上司は【女性から顔を30センチ以上離す】【俺んとこ こないか?】と言わない、まして英語で言わない、を心がけましょう!私も注意しますw
女性はカラオケの模様を録音していればセクハラで訴えることができるかもしれません。
オマケ
こちらのセクハラ裁判例もどうぞ。【セクハラ直後に送ったLINE】が強力な証拠になりました。被害直後、同僚に「アイツからセクハラされたんだけど!」みたいなLINEを送ってたケースです。
セクハラで訴えたければ、証拠が命です。
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取材・文/林 孝匡(弁護士)
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