目次
新商品の公開や発表の際、『ローンチ』という言葉が使われる場合があります。初めて見たときには、どのような意味で使われているのか悩む場合もあるでしょう。ローンチの意味や使い方、似た用語であるリリースとの違いについて解説します。
「ローンチ」とは
製品の発売時やサービス開始時に、『ローンチ』という言葉が使われるケースがあります。ビジネス用語としての使用が一般的です。意味や用語の特徴について見ていきましょう。
■新サービスを開始すること
ローンチは、英語の『launch』が由来です。ロケットの打ち上げ、ミサイルの発射、船を水面に浮かべる様子などを意味します。これが転じて、『立ち上げる』『公開・発表する』という意味も持つ言葉です。
商品やサービスに対して使われる場合、『商品の販売開始』や『サービスの公開』を表します。主に『サービスが○月○日にローンチ』のように使用されるため、意味を理解してしまえば簡単です。
安易に使いがちではありますが『ローンチ』は日本語に置き換えができます。複雑な意味を持つ新語ではありませんので、シンプルに『サービス公開』『商品の販売開始を発表』と言い換えられます。
■元々はIT業界で使われていたビジネス用語
『ローンチ』という言葉は、ゲーム業界・金融業界・IT業界の業界用語として使われてきた歴史があります。一般に『ローンチ』という表現が広まったのは、IT業界が商品・サービスの発表時に使うようになったのがきっかけのようです。
ゲーム業界では、ゲーム機の発売時に使われるケースが多いでしょう。金融業界では、有価証券の発行を市場に発表する意味で使われる用語です。
■ローンチの類語
ローンチと似たビジネス用語として、『キックオフ』や『カットオーバー』が挙げられます。
キックオフは、元々フットボールやラグビーで『試合開始』を意味する言葉です。ビジネス用語としては、『ミーティング』とセットで事業・プロジェクトの開始や立ち上げに伴い開かれる集会『キックオフミーティング』のように使われます。
カットオーバーは、『木を伐採した後の土地』という意味を持つ英語の『cut over』が由来となっている言葉です。ビジネス用語としては、主にIT業界で使用され、システムの稼働やWebサイトの公開の意味で使われます。
カットオーバーと同じような意味合いで使われる『サービスイン』も、類語に分類されるでしょう。
リリースとの違い
『リリース』は、ローンチと同じくサービス開始や商品の発売時に使われる言葉です。リリースの方が聞きなじみがある人も多いでしょう。言葉の意味や、ローンチとの違いがあるのか解説します。
■リリースの意味は「公開」「発表」など
商品の販売開始やサービス開始時によく使われる『リリース』は、ローンチと似た意味の言葉です。英語の『release』が由来であり、公開・発売といった意味があります。
主に音楽業界や映画業界で、作品の発売や公開に当たり使われるケースが多いでしょう。IT業界でも、Webサイトの公開やアプリケーションのサービス開始時に使われています。
リリースとローンチの使い方に大きな違いはありませんが、一般顧客に対するサービス開始を表す場合、『リリース』を選択するケースが多いようです。ローンチよりも広く浸透しており、サービス開始の意味であることが伝わりやすくなっています。
■リリースの使い方
リリースは、公開・発売以外に『解放』という意味も持っています。主な使い方と例文を確認しましょう。
- この魚はまだ小さいから、川にリリースした方がいいよ
- 私の好きな映画のDVDが、今週末にリリースされる
- 人気アーティストの最新曲がリリースされるらしいと聞いた
- 気になっている企業のプレスリリースを確認する
『解放』の意味で使う場合、釣った魚を海や川に返す使い方がよく知られています。楽曲の公開時やDVDやCDの発売時にも使える言葉です。
リリースを含む『プレスリリース』という語は、企業が発信する新商品などの情報を指し、『ニュースリリース』も似た意味で使われます。
「ローンチ」の使い方
ローンチは主にどのように使われるのでしょうか?使われるシーンや特徴、例文を紹介します。
■「ローンチ」の例文
ローンチはさまざまな業界で使われ始めているものの、見かける機会は限られています。実際に見る機会が少ないと、どのような使い方をすればよいのか判断に迷うシーンもあるでしょう。主な例文を紹介します。
- 人気ブランドの新ラインは、〇月〇日ローンチとなる
- 新ビジネスのローンチ日は、〇月〇日の予定です
- 新作発表のため、パリでローンチイベントが開催される
『〇月〇日ローンチ決定』『新ブランド〇〇がローンチ』のように、体言止めでも使用されるケースが多いでしょう。『ローンチ』単体で使用されている場合、ほとんどは販売開始・サービス開始・立ち上げ・公開・発表いずれかの意味と考えて問題ありません。
「ローンチ」が使われる用語
ローンチは単体でも使える言葉ですが、用語の中の一部分としても使われます。ローンチが含まれる主な用語と、意味や使い方を確認しましょう。単体ではなく用語として使う場合、販売開始やサービス開始とは異なる意味で使われるケースも増えています。
■プロダクトローンチ
プロダクトローンチは、マーケティング手法の一種です。『プロダクト』は英語の『product(製品)』に由来します。そのまま訳すと『製品の立ち上げ』ですが、単なる製品の発売に関する発表を指すわけではありません。
マーケティングとしてのプロダクトローンチは、発売予定の商品に興味を持ってくれる顧客を集め、信頼関係を構築しながら情報を発信し、期待感を高めた上で公開に踏み切る手法です。
すでに興味を持っている顧客を多数集めること、期待感が十分に高まった時点で商品の発売・公表を行うことで、発売と同時に爆発的な売り上げが期待できます。具体例としては、映画の公開に先立ち、予告編やCMなどで情報を少しずつ発信する手法が挙げられるでしょう。
■ローンチタイトル
ローンチタイトルは、ゲーム業界で使われる用語です。主に、家庭用ゲーム機と同時発売されるゲームソフトを指します。『ローンチソフト』も同じ意味の用語です。
ゲーム業界ではゲーム機の発売を『ローンチ』と呼び、ローンチと同時に発売されるソフトという意味で使われます。
家庭用ゲームは、ゲーム機本体を売るだけで開発経費が回収できるわけではありません。ゲーム機の発売はあくまでも『事業の立ち上げ』『始まり』を意味し、ローンチタイトルや後発のソフトを数多く販売することが重要です。ローンチタイトルは、ゲーム機本体の人気を左右する重要な役割を担うソフトといえるでしょう。
■ローンチコントロール
ローンチコントロールは、車に関する用語です。『ラウンチコントロール』と表記される場合もあります。自動車を制御するシステムを指し、停止状態から素早く加速するために搭載されています。
一般的には、素早い加速を必要とするF1カーやモータースポーツの競技で使う車に搭載されているシステムです。
市販の車の中にも搭載している車種はあります。しかし通常の運転では、競技のように素早い加速を必要とする場面はほとんどなく、搭載車種は性能の高い車に限られているようです。
■ローンチカスタマー
ローンチカスタマーは、航空業界で使われる用語です。この場合の『ローンチ』は、航空機・貨物機の開発を指します。
航空機の開発には多額の資金が必要となり、開発メーカーは資金を提供してくれる顧客を見つけなければなりません。
ローンチカスタマーは、航空機の開発費用を提供する顧客です。航空会社がローンチカスタマーとなるケースが多いでしょう。1社だけでなく、複数の会社が該当するパターンもあります。
構成/編集部