「オール静岡ウイスキー」プロジェクト
静岡蒸溜所では、このほかにも静岡産の原材料を活用している。まず、一つは仕込み水だ。
水流
蒸溜所のそばを流れる安倍中河内川の伏流水を、敷地内の井戸から汲み上げて使用している。安倍中河内川は、静岡市の生活を支える安倍川の水系で、良質な水質で知られている。水質は中硬水で、出来上がるウイスキーは香り豊かで上品なウイスキーになると言われている。
さらに、ウイスキーづくりで類を見ないのは、県内産の酵母を使用していること
酵母
静岡蒸溜所では、一般的なウイスキー用の酵母と、県内で開発された酵母「NMZ-0688」を併用している。これは、全国新酒鑑評会でも高く評価される日本酒の清酒酵母「静岡酵母」を開発した沼津工業技術支援センターが、ウイスキーやビールの麦芽の発酵用に開発したもの。
同じく地元産の杉で造られた発酵槽で良質なもろみを醸し出している。
厳密には、今回の原酒の仕込みには県産酵母だけでなく輸入酵母も使用しているため、「オール静岡」を冠していないが、将来的には「オール静岡ウイスキー」をリリースしていく計画だ。
静岡プライベートカスク
「静岡プライベートカスク」は静岡蒸溜所が2016年から実施する、カスクオーナー募集プログラム。蒸留後の原酒を詰めた樽を予約販売し、最短で3年後にボトリングしてデリバリーされる。
プライベートカスク
ウイスキー愛好家の「自分の樽を持ってみたい」という夢を叶える当プログラムは、好評となり現在は抽選にて申し込みを受け付けている。
カスクオーナーは、熟成期間中に蒸溜所見学で樽と対面したり、サンプルを採取して成長を確かめたりでき、熟成3年に達したらお好みのアルコール度数、ボトル容量(500mlまたは700ml)でボトリングすることができる。
今回はこのプライベートカスクの一環として、静岡蒸溜所が特別に保有する樽を「ディスティラリーリザーブ」として、シングルカスク(ひとつの樽の原酒)、カスクストレングス(樽出しのアルコール度数)でリリースされる。
ラベルは、樽の詳細が記載される静岡プライベートカスクの公式ラベルを採用している。
「静岡大麦100% exバーボンバレル5年」の製品概要
exバーボンバレルとは、容量200Lのアメリカンオーク製の樽で、一度バーボンウイスキーの熟成に使用されてから日本に運ばれてきたもの。原酒の個性を素直に反映するため、静岡蒸溜所では中心的に活用している。
そして本作は、静岡蒸溜所のオフィシャルリリースとしては初の5年熟成品となる。2018年に蒸留され、5年熟成到達を迎える11月のボトリングとなるため、アルコール度数、リリース本数はボトリング時の計測となり、現時点では未定。販売方法は今後、オフィシャルサイトやSNSにて案内される。
アルコール度数/未定
容量/500ml
希望小売価格/2万2011円(税込)
販売数量/未定
発売日/2023年11月下旬
関連情報
http://www.gaiaflow.co.jp/blog/shizuoka-distillery/16473
構成/清水眞希