ジャッジ
再びXさんの勝利です。
裁判所
「懲戒解雇は無効です。理由は以下のとおり」
[理由]
・たしかに、のぞき目的で入ったと疑われても仕方がない面がある。
・女性職員に与えた不安感も少なくない。
・これまで脱衣所での診療を日常的に行っており職員から苦情が出たことはなかった。
・セクハラにあたるとして法人が注意したこともない。
・脱衣所の踏み込み部分には目隠し用のついたてがあったので、脱衣スペースを見ることができなかった。
・利用者にドライヤーをかけていた職員は入室してきたXさんを咎めず、驚いてもいなかった。
というわけで懲戒解雇は無効となりました。
ほんで、なんぼ?
Xさんはザッと624万円くらいを勝ちとることができました。これをバックペイと言います。
解雇無効!となれば、過去にさかのぼって給料がもらえるんです。具体的には【解雇された日から → 訴訟になって → 判決が確定する日までの給料】がもらえます。(民法536条2項)。
今回のケースでは、およそ2年2ヶ月裁判が続いたので、裁判所はその期間の給料支払いを命じました。
Q.
転職してしまった場合は、どうなるんでしょうか?
A.
転職したとしても基本、6割の給料をもらえます。ただし「元職場に戻る意思がある」と認定できる期間分だけです。裁判官が「もう戻るつもりないよね」と認定した時点以降はもらえません。でも、かなりデカイですよね。会社からすれば衝撃です。
オマケ
チャットのやりすぎで「懲戒解雇OK」となった事件はコチラ
会社のチャットでおしゃべりしまくっていた社員が懲戒解雇された理由
こんにちは。弁護士の林 孝匡です。 宇宙イチ分かりやすい解説を目指しています。 裁判例をザックリ解説します。 チャットでおしゃべりしまくってた社員が懲戒解雇され...
さいごに
現在の法律の運用では、解雇はなかなかOKになりません。解雇された方や解雇をチラつかされて退職強要されている方は労働局に申し入れてみましょう(相談無料・解決依頼も無料)。
労働局からの呼び出しを会社が無視することもあるので、そんな時は社外の労働組合か弁護士に相談しましょう。
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取材・文/林 孝匡(弁護士)
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