一発逆転が減る可能性も
同動画の中でU-18日本代表監督でもある馬淵史郎氏は新基準バットについて次のように所感を述べている。
「本当の芯じゃないとボールは飛ばないと思う。以前のバットだったら芯を外れても外野の頭を超える打球もあったが、しっかりした打ち方で芯を捉えないとボールは飛んでいかない」
そうなると試合はどのように変化するのだろうか。やはり一番に考えられるのは長打、本塁打頼みの試合の減少だ。一発出れば逆転というケースでも、その一発が難しくなる。長打が減るとロースコアゲームの増加も予想され、一点の重みがより増すかもしれない。粘り強く点数を重ねていく、そのような戦術が求められるようになるかもしれないのだ。
一方で、長打のリスクが減ると投手としては、これまで以上に思い切った投球ができるようになる。慎重な投球で四球を出すなど、長打リスクが多い方が投球回数は増えるものだ。新基準バットの環境では投手の投球数や変化球への依存度を減少させる効果があるかもしれない。これが新基準バット採用ふたつ目の理由「投手の負担軽減によるケガ防止」に繋がるのだと推測される。
肩、ひじ、手首など様々な箇所に故障リスクがある
新基準バットでも、きちんと芯を捉えることができれば飛距離は変わらないという声もある。高校球児たちが技術力、順応性を考えれば、もしかしたら試合風景に大きな変化はないかもしれない。
いぜれにせよ、高校野球において大人たちが最も考えなければならないのが球児たちを怪我のリスクから守ることだ。新基準の金属製バットはそのような観点から生まれたものということは、念頭に置き、来年以降の高校野球を見守っていきたいものだ。
【参考】
新基準金属製バットについて
https://www.youtube.com/watch?v=hVAjzeWp6zk
取材・文/峯亮佑