作業中のトンネルを見てみよう
さて、青崩峠の行き止まりをみたので、トンネルの工事現場も見学しに行ってみましょう。
県道365号線(兵越峠)の方向へ進むとバイパスっぽい雰囲気になりますが、道の両脇は工事用車両・資材置き場で埋まっています。
そして左側に姿を現したのが、目下工事中の青崩トンネルの南側の入り口です!
先ほどの青崩峠とはまったく雰囲気が異なり、余裕をもって車がすれ違える大きく立派なトンネルになるようです。大勢の関係者の方が忙しそうに出入りしていて、真っ暗なトンネルの中で現在も少しずつ作業が進められている様子が伝わってきました。
そして県道365号線(兵越峠)を抜けた先には、南側(長野側)の出口の工事現場が遠くに見えました。
長野側では周辺道路の改善工事も同時に進められているようで、この先北へ進む道ではたくさんの工事現場の横を通過することになりました。
青崩トンネルは全長4998m。工事現場の前に展示されていた看板を見ると、いかに深い場所にトンネルを掘っているのかが伝わってきます。
ちなみに余談ですが、兵越峠の南側、青崩トンネルのすぐ東側にある草木トンネルは、もともと三遠南信道のバイパスのため…つまり工事中の青崩トンネルと同じ役割を期待されて造られたもの。
ところが先述した地盤の脆さから計画が中止になってしまい、その役割を果たすことはできませんでした。現在は広い高架の路肩を工事車両によってふさがれ、なんだか寂しそうな姿で取り残されています。
貫通石をもらいに行こう!
筆者が青崩峠を見に来たのには、トンネルの工事現場を見る他にもうひとつ目的がありました。それは、青崩トンネルの貫通石の受け取りです!
貫通石とは、トンネルが貫通した際の穴の付近の石を採取したものです。難関突破のご利益がある縁起物で、今回の青崩トンネルの場合は先着300個のみの限定配布品。9月のはじめに配布のニュースを聞き、すぐに申し込んだところ、定員間際のギリギリでゲットすることが叶ったのでした。
早速貫通石の受け取り場所である飯田国道事務所(長野県飯田市)へとバイクを走らせたのですが…ここでひとつ大きなトラブルが起きました。
なんと、飯田市へと続く県道251号線(赤石峠)が土砂崩落により通行止めとなっていたのです。
う回路は自動車道である国道474号線のみ。原付二種であるクロスカブでは大回りする必要があり、飯田国道事務局の営業時間(17時まで)に間に合いません。絶体絶命のピンチです!
…ここで取材の裏側の話をすると、筆者はこの日軽トラックにクロスカブを積載して浜松市まで来ており、近隣の駐車場でクロスカブを降ろしてツーリングをスタートしていました。
つまりクロスカブを軽トラックに積み直し、車で自動車道を走ればギリギリ間に合う可能性があります。
もはやツーリングとは呼べない行程になってしまいましたが、ここまで来て貫通石を逃すわけにはいきません。
猛ダッシュで元来た道を引き返し、焦る気持ちを必死でなだめながら軽トラックで再び折り返し、飯田国道事務局へ一直線に走った結果…なんとか16時45分に滑り込みで到着することができました!
貫通石も無事にゲット。青崩トンネルにとっても筆者自身にとっても、難関突破の象徴的なアイテムとなりました。
貫通石には白と黒で地層の模様が入っていて、青崩峠の地中で複雑に絡まる地盤を思わせてくれます。
突破石は宝石のようにキラキラ輝くわけでもなく、金銭的な価値があるわけでもありません。
しかし日本一の難関を突破した瞬間に生まれたこの小さな石は、今後の筆者が前へと進む勇気をわけてくれるような予感がしています。
文/高木はるか
アウトドア系ライター。つよく、しぶとく、たくましくをモットーにバイクとキャンプしてます。 愛車はversys650、クロスカブ110、スーパーカブ90。
高木はるかの記事は下記のサイトから
https://riding-camping-haruka.com
編集/inox.