記者が居丈高な理由は?
最後に、読者がマスコミに違和感をお持ちになるもう一つの理由について解説します。「記者会見で記者が居丈高に見える」というものです。
まず私が解説します。あれ、テクニックの部分があるんです。取材で相手を怒らせると、思わぬコメントが取れることがあります。好例が2000年に雪印乳業が起こした集団食中毒事件。当時の社長が記者に詰め寄られ「私は寝てないんですよ」と言い放った一言は、トップの危機感、責任感の欠如を強く世間に伝えました。筆者は駆け出しの頃、先輩記者が取材相手を横目に見ながら「本当ですかぁ?」と言い、取材相手が「本当です!」とむきになって話すのを見たことがあります。取材終了後、先輩は私に「普通の会話だったら失礼な言い方だよね。でも取材の場で『そんなものかな……』と流したら記者失格だよ」と解説してくれました。
一方、前薗氏はこう話します。
「とはいえ感情的な部分もあるでしょう。取材から逃げ回っていた企業の幹部がやっと出てきたら『この機会を逃してたまるか!』『今まで無視していたのに!』と思うものでしょうから」
言われてみれば思い当たるふしが。報じたことが「事実でない」と一蹴されたり、度重なる取材依頼を無視されたりした挙句やっと出てきた相手なら、記者会見で言質を取って「やっぱり事実ですよね?」とやり返したくなることもあります。
しかし、聞いている方たちが不愉快になるような態度はやはりNG。最近は記者会見で横暴な態度をとって、記者が炎上する例も増えています。
いかがでしょうか。前薗さんと筆者が知る範囲のメディアや記者は、ざっとそんな事情を抱えながら炎上と向き合っていました。
取材・文/夏目幸明