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なぜ、会見の場でメディアや記者は高飛車な対応をするのか?

2023.11.14

【炎上の真相――専門家が見た裏側:第2回】メディアは「炎上」とどう向かい合う?

SNSやまとめサイトの普及により、毎日のように企業や芸能人がネットで叩かれ「炎上」しています。炎上を研究するジャーナリストと、デジタル・クライシス総研の研究員が炎上の真相に迫る企画、今回はマスコミが炎上事案とどう向き合うかを報じます。

「マスコミ=世間」は本当?

 基本、メディアは多くの方が興味を持つことにフォーカスします。テレビを見ながら「芸能人の不倫より大事なことがあるんじゃ?」と思う方も多いでしょうし、筆者も共感します。しかしメディアは、テレビなら視聴率、雑誌なら売上部数、WEBメディアならビュー数次第で収益が決まります。例えば広告会社はテレビ局に「この広告を視聴率合計何%分放送してね」といった発注をします。仮に視聴率100%分を売るなら、視聴率10%の番組なら10回CMを流せばいいのに、1%なら100回流さなければなりません。これは時給10分の1のバイトをしているのと同じです。

 すなわち、メディアは多くの方が見たいものを見せて収益を得ていて、作り手が「これぞ意義ある記事!」と思っても、数字がついてこなければ赤字になってしまうのです。デジタル・クライシス総合研究所の研究員・前薗利大氏が話します。

「そんな中、何を報じれば視聴率がとれ、雑誌の販売部数が伸びるかは『ネット上に答えがある』と言われています。なかでも炎上事案は、多くの方が興味を持っている、マスコミにとって『おいしいネタ』なのです」

 テレビの視聴者の多くは「ザッピング」といってリモコン片手にチャンネルを変えながら「なんか面白い番組やってないかな?」とコンテンツを探します。そんななか、画面右上あたりにある「○○社の○○疑惑徹底追及!」といったテロップは、多くの視聴者が「これ見ようか」となるネタ。すなわち、炎上中の企業は「数字を持った人気タレント」と同じなのです。

 ここだけ見れば、マスコミ=世間と言っていいでしょう。しかし筆者は今回、別の側面があることもお伝えしたいと思うのです。前薗氏が話します。

「例えば炎上中の企業がCMのクライアントだった場合、マスコミは初動が遅くなります。例えばビッグモーターの件も、CMに起用されていた佐藤隆太さんが降板してCMが流せなくなったくらいのタイミングで炎上の炎が大きくなっているのです」(前薗氏)

マスコミ内部の構造は?

 ここは勘のいい読者なら「想像通り」かもしれません。「クライアント叩き」はどの業界でも難しいもので、メディアにも同じ構造があります。加えて言えば、テレビなら視聴率、雑誌なら売上の部数に直結する数字を持っている相手も叩きにくい構造があります。ジャニーズの例がわかりやすいでしょう。ジャニーズのタレントさんを出せば視聴率や売上部数があがります。もし報道部門がジャニーズを叩けば、バラエティや歌番組のキャスティングの部署と社内で対立が起こりかねなかったでしょう。すなわち、これらはボーボー燃えてから叩くことになります。

 しかし、マスコミの人間の一人としてお伝えしたいこともあります。

 一言で「マスコミ」と言っても各社様々です。経済誌の分野なら、ダイヤモンド社や東洋経済新報社は、大量のCMを出してくれる自動車会社でも叩くときは叩く硬派な雰囲気。また週刊ポストや週刊文春のような雑誌は、戦うことで読者の支持を得ています。もしこれらの雑誌で「クライアント叩き」の記事を見かけたら、それは正義感のある記者が戦っている証拠。読者諸氏の時間が許す範囲で、「いいね!」やシェアをして応援してあげてください。特にシェア数は、メディアの企業がで記事の良否をはかる尺度にしているので、応援として効果的です。付け加えるなら、NHKはCMを入れず受信料で成り立っている団体。筆者は、ドラマやバラエティをつくって民放と視聴率を奪い合うより、硬派な社会問題にもっと切り込んでほしいと切に願います。前薗氏が続けます。

「あと、マスコミは『時期を待つ』ことが多いですね。まず、ネタを持っていても視聴率がとれるようになるまで待っている場合があります。以前、新電力の会社『グランデータ』が顧客に法外な電気代を請求しネットで炎上した事案は、ネットで炎上しているさなかでなく、電気料金が高騰し、電力の問題が世間の興味を引くようになってから大きく報道されています。

 また、記者には『今は叩かないけど、この会社のネタ握ってるよ』という状況があります。企業を叩いてもたいてい『事実ではありません』と反論されます。その時『こんな事実もありますけど?』と続報を出せなければマスコミ側の負けになってしまいます。

 すなわち、マスコミはネットに比べ初動は遅いけれど、動き始めた場合は充分に裏が取れている場合が多い。そこがネットとの違いと言えるでしょう」(前薗氏)

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