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女性社員たちによる集団イジメ裁判から学ぶ、イジメが労災認定される条件

2023.11.01

こんにちは。

弁護士の林 孝匡です。

宇宙イチ分かりやすい法律解説を目指しています。

裁判例をザックリ解説します。

女性社員たちの仁義なきイジメ。集団で女性社員(以下、Xさん)をイジメました。以下のようなイジメを。


・「ケーキにつられて仕事をする女」と陰口を叩く
・飛び蹴りや殴るふりをする
・メッセンジャーグループで悪口オンパレード


Xさんはうつ病になってしまいました。労災を申請しますが労災は下りず。そこで提訴。

裁判所
「労災おりるよ!うつ病になった原因はイジメじゃん」

以下、分かりやすくお届けします(国・京都下労基署長(富士通)事件:大阪地裁 H22.6.23)。

※ 争いを一部抜粋して簡略化
※ 判決の本質を損なわないよう一部フランクな会話に変換

登場人物

▼ 会社

・富士通株式会社

▼ Xさん

・女性(40歳くらい)
・おもにパソコン操作の講師を行うなどの仕事

こんなイジメ

Xさんは同僚の女性社員から、ねたみや逆恨みをされており、以下のようなイジメを受けていました。


・「営業の仕事をしていない」と言われる
・「職務等級が自分らより上なのに自分らと同じような仕事をして高い給料をもらっている(約1.5倍)」と言われる
・部内の勉強会に参加したところ、同僚女性から「あなたが参加して意味があるの?」と言われる
・次回から勉強会を欠席したところ、同僚女性はみんなの前で「この人はいい加減な人」と言った
・書類の受け渡しの際に嫌がらせ
・飛び蹴りや殴るふりをした
・ある社員にパソコン操作を教えたところ、お礼にケーキをもらったことがあった。すると同僚女性たちは「ケーキにつられて仕事をする女」と陰口をたたいてその噂が大きくなった
・同僚女性のIPメッセンジャー内でXさんの失敗談などが取り上げられた。Xさんが失敗した直後に送り、メッセージを受信した社員は目配せをして冷笑した


▼上司に相談

Xさんは耐えきれなくなり、上司3名に相談しました、しかし…!上司が動くことはありませんでした。1名の上司は、イジメの一部に気づいていたにもかかわらずです。

Xさんは自律神経失調症となっていまい、翌月には不安障害、うつ状態と診断されました。

▼労災申請

Xさんは労災を申請。労働局の職員は同僚社員に事情聴取をします。

労働局の人
「Xさんはイジメられたと主張していますが、事実ですか?」

同僚女性たち
「イジメたことはありません」

かなり醜い回答ですね。結果、労災は下りませんでした。制度上、不服申し立てが2回でき、Xさんはチャレンジしたのですが、2回とも棄却されてしまいました。そこで提訴。

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