こんにちは。
弁護士の林 孝匡です。
宇宙イチ分かりやすい法律解説を目指しています。
裁判例をザックリ解説します。
Xさんが会社に旅費を不正請求した事件です。不正っぷりは以下のとおり。
・車で出張したけど交通費を請求しちゃえ!
・クオカードつきの宿泊プランにしてクオカード分も請求しちゃえ!
・駐車場代つきの宿泊プランにして駐車場代も請求しちゃえ!
会社がブチギレてXさんを懲戒解雇します。これに対し、Xさんが提訴。地裁と高裁の判決は、相反するものでした。
地裁
「解雇はOK!」
高裁
「解雇ダメ〜」
以下、分かりやすくお届けします(日本郵便<北海道支社・本訴>事件:札幌高裁 R3.11.17)。
※ 争いを一部抜粋して簡略化
※ 判決の本質を損なわないよう一部フランクな会話に変換
登場人物
▼ 会社
・日本郵便株式会社
▼ Xさん
・営業インストラクター
どんな事件か
Xさんは、約1年半にわたり不正請求していました。具体的な不正っぷりは以下のとおり。
・社用車で出張していたにもかかわらず公共交通機関を使ったとして旅費を請求
・クオカードが宿泊費に含まれている割高プランで宿泊してクオカード代金をプラスした宿泊費を請求
・駐車場料金が宿泊費に含まれているプランで宿泊して、ホテルから宿泊費に駐車場料金をプラスした領収書の発行を受けて旅費を請求
合計100回くらいで、会社から不正に得た旅費は54万円でした。
Xさんだけではありません。ほかにも10名の営業インストラクターが旅費を不正受給していました。会社の旅費支給事務はユルユルだったようです(高裁の認定)。会社はこの10名に対しては停職処分や減給処分を下しました。最も重い処分が停職3ヶ月でした。
しかし!会社はXさんに対しては懲戒解雇処分を言い渡しました(ちなみに、Xさんは不正に得た54万円を返還しています)。
Xさんは解雇無効を求めて提訴しました。その結果…。