「パワハラ」「セクハラ」など、職場にはさまざまなハラスメントがありますが、近年「ロジハラ」という言葉を多く耳にするようになりました。
この言葉はロジカル(正論)という言葉が入っており、一見正しいことのようにも見えてしまい、自身がハラスメントをしてしまっていることに気づかないという厄介さを持っています。
今回は「ロジハラ」の意味や、なぜ「ロジハラ」が起こってしまうのか、また正論がハラスメントにならないための対処法をご紹介します。
ロジハラとは
ロジハラとは、正式名称は「ロジカルハラスメント」と言い、正論(ロジカル)を突きつけて相手を追い詰めることを指します。
先ほどもお伝えしましたが、正論の言葉通り、一見正しい意見にも見えますが、一方的に相手に正論を押しつけてしまう、というところがハラスメントとなります。それによって嫌な思いをさせてしまっているのです。
ハラスメントは受け手に精神的なストレスを与え、それだけでなく仕事に支障をきたすほどの圧力を与えてしまう場合もあります。
正論がロジハラになってしまう人の特徴
ロジハラは1対1などでの相談や注意などの場面や、会議やミーティング時などの場所で起こります。どちらの場合も共通しているのが、ロジハラを行っている本人は正論を相手に伝えているので、それがハラスメントになっていることに気づいていないことです。
ここでは、ロジハラを行ってしまいがちな人の共通点を見ていきましょう。該当するところがあれば、あなたの正論はロジハラになっている可能性があります。
1.自分の意見が正論だと思っている
ロジハラをする人は、自分の意見が正論だと思い込んでしまっていることが多いです。他人の意見を受け入れるといった考えがありません。このタイプは言葉に「〇〇するべき」という言い方をよく使います。
また、本人は悪気は一切なく、相手を正論で正しい道に導いてあげようという使命感のようなものを持っていることも多く、相手がその正論を受け入れるまで言い続けます。それがハラスメント認定されてしまう所以でしょう。
2.相手より優位に立ちたい欲がある
相手より優位に立ちたいと思っている人も正論がロジハラになりがちです。
ロジハラをしてしまう人は自分に自信があるようにも見えますが、このタイプは自分の価値を自分以外で認識しようとしているので、実は自信がないという特徴もあります。他人と比べてその人よりも優位にいる自分を確認して安心したいがためにロジハラを無意識に行ってしまっている状態です。
3.相手の話を聞かない
相談やミーティングの場面で、一方的に話をするだけで終わってしまうのがこのタイプです。
本人は相手のためを思ってアドバイスをしているつもりでも、相手には一方的な指示のようなかたちになって伝わり、それによって相手は身動きが取れない状態になり、追い詰めます。
正論がロジハラになってしまわないための3つの対処法
次に、正論がロジハラになってしまう原因を考えていきましょう。自分がロジハラをしてしまわないために気をつけるポイントをご紹介します。
1.相手の話を聞く姿勢を持つ
まず、相手の話を聞くという姿勢を持つことが大切です。相談はもちろん、注意する場面でも、コミュニケーションは一方通行では成立していません。
また、組織の中では、自分の考えに固執してしまうほど、相手とのコミュニケーションはうまくいきません。
2.共感力を高める
先ほどコミュニケーションは一方通行では成立していないとお伝えしましたが、コミュニケーションをうまくとるには、共感力を高める必要があります。
共感力を高めるためには、相手の意見に興味を持って耳を傾け、納得できる部分や正しい点は受け入れましょう。
また、あなたが思っている正論は、角度を変えて相手の立場から見た場合、正論とは限らないという考えを持つことも大切です。
3.白黒はっきりさせる必要はない
正論で相手を追い詰めてしまう人は、論破しようとするなど、その内容について白黒はっきりしたいという思いがあります。
しかし、先ほどお話した通り、正論もあなたが思っているだけで相手にとっては正論ではない可能性もあり、さらには、正論であってもその通りに進められないことは多くあります。
なので、正論から外れる少しマイナーな視点、いわゆるグレーゾーンがあっても構わないという考えを持ちましょう。白黒はっきりさせる必要がなければ、相手を論破しようとは考えなくなります。
文・構成/藤野綾子