実際の活用機会は少ないが考え方は資産形成の一助になる
株や投資信託などの金融商品に投資する時は、価格が下落し、場合によりゼロになるリスクがつきものだ。これを避けるべく、複数の銘柄や国への分散、積み立ての時間を分散することで〝卵をひとつのカゴに盛らないよう〟にリスクヘッジする。
一方、リスクヘッジには、卵が割れた時にお金がもらえる「保険」もある。今回紹介する「先物」は、まさに保険に似た形でのリスクヘッジに有効だ。長年、銀行や証券会社のリスクマネジメントに携わった三根公博さんはこう解説する。
「まず債券とは金利がつく借金の証書が売買できる金融商品です。政府が発行するものを国債といい、例えば金利5%の国債を100円で買った後、金利が上がるともらえる利息が増える分、売買価格が下がります。
また、先物取引とは将来の価格を約束して予約売買する仕組みです。先の例で国債の価格が95円まで下がる、つまり金利が上がる場合に備えて、国債先物で今の価格100円で『売り』を入れ、将来95円まで下がったら『買い』で清算する。すると、現物の国債が値下がった分と先物の利益が相殺できます。これを『売りヘッジ』といいます。
実際の取引では、現物と先物を1:1にすると利益がお互い相殺されてゼロのままですから、資産の10~20%程度で売りヘッジするのが目安です」(三根さん)
そもそも先物取引は考え方が難しく債券先物は知名度が低い。そのため取引できる証券会社も日本ではかなり限られている。
「個人投資家は、日本国債や米国債を満期保有することが多く、売りヘッジの利用機会が少ないですが、国債に投資する投資信託では日々の基準価額に国債価格が反映されます。実際に売りヘッジをせずとも、『現物に対し先見性がある先物価格を見て、その投資信託を買い足す』とか、『債券以外の日経平均株価など』でも売りヘッジは有効。なので、リスクを下げる方法として認識しておくことが大切です。なお、国債以外の債券先物取引は資産がゼロになるリスクがあるので、くれぐれも先物〝だけ〟に投資して大きく利益を狙うのは避けてください」(三根さん)
株式会社finoject
代表取締役
三根公博さん
株式会社finoject代表取締役兼JPYC社外取締役。過去には松井証券やマネックス証券などで取締役、bitFlyer 代表取締役を務めた。インターネット証券のシステム、業務、法務など全般に精通する。
取材・文/久我吉史 イラスト/しまだたかひろ
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