映像作家の山田あかねさんは、俳優の石田ゆり子さんとともに、ハナコプロジェクトを立ち上げた。動物病院を通じ、保護犬・保護猫、野良猫の不妊去勢手術費用、飼い主のいない子犬・子猫のケア費用を支援する活動である。
個人で活動している人はもちろんのこと、民間の動物愛護団体はどこも資金難で、活動している人のほとんどが無償のボランティアである。
民間・個人での保護活動は経済的に厳しいケースが多い。そこで、ハナコプロジェクトの代表理事山田あかねさんは、保護犬、保護猫、野良猫たちの医療費を支援することを決めた。
保護犬、保護猫は特別な存在じゃない
「私は基本的に保護犬、保護猫を特別な存在だと思っていません。ペットショップから買って来たペットも野良犬や野良猫も含め、みんな同じ動物です。レッテルを貼っているのは人間だと思っています。
あえて言うなら、保護された動物は何らかの形で傷ついた経験を持っている場合があること。暴力で虐待された場合もあるだろうし、食べ物が無く、飢えた経験や、飼い主に捨てられて夜道を彷徨うなど、傷ついた経験を持っている子もいます(これは、ペットショップから来た場合にも充分考えられます。ペットショップのバックヤードで劣悪な環境で育てられた可能性もありますから)。
ひとくくりに『保護犬』『保護猫』と考えずに、1匹1匹と向き合ってほしいと思っています。保護された動物であっても、新しい飼い主の元へ迎えられたら、毎日の生活の中で、きちんと幸せを感じて豊かに生きていける子がほとんどだと思います。
もちろん、中にはひどい経験をした子や野犬のようになかなか人間に心を許さない子もいます。そのような場合は、保護主や保護団体のひとが譲渡できるかどうかを判断するので、焦らずにゆっくり向き合えたらと思います。
人間は傷つけられた過去を引きずって生き、なかなか苦しみから逃れられない場合も多いですが、犬や猫には驚くほどの回復力があると感じています。
昨年と今年、ウクライナで動物保護活動を取材してきました。戦争状態のなか、置き去りにされたり、負傷したりと傷ついた犬と猫がたくさんいました。トラウマを抱えているケースも少なくなかったですが、それでも犬や猫が見せる生き生きとした表情や元気に走りまわる姿は人間に生きる力を与えてくれると思いました」
そう語ってくれた山田さんが、飼い主のいない犬や猫の幸せを願ってスタートしたのが、ハナコプロジェクトである。