異次元緩和終了でもゼロ金利は続くとみており日銀が対話を十分に行えば市場の混乱は回避へ
日銀は、2024年3月中旬ごろの春季生活闘争(春闘)の集中回答を確認後、4月の展望レポートを改定し、「物価安定の目標」について、持続的・安定的に実現する確度が高まったと判断する見通しだ。
それに伴い、日銀はYCCの撤廃とマイナス金利政策の解除に踏み切り、すでに形骸化しているETFおよびJ-REITの買い入れ停止と、「オーバーシュート型コミットメント」によるマネタリーベース拡大方針の廃止も予想される。
異次元緩和の終了により、日本国債の利回り上昇、日本株の下落、ドル安・円高の進行が予想されることから、日銀が長期金利急騰時の柔軟な国債買い入れ姿勢を継続するか否かも注目される。
ただ、国内物価上昇率の先行きの見通しを踏まえると(図表2)、マイナス金利解除後もゼロ金利政策が当面続く可能性は高く、日銀が市場との対話を十分に行えば、極端な長期金利上昇、株安、円高は回避できると思われる。
(3)について、具体的な発言をいくつかまとめたものが図表1だ。これをみると、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現するタイミングに言及するものや、YCCの役割終了とも受け止められるコメントに加え、マイナス金利解除でも緩和継続とする発言や、物価の上振れリスクや賃金上昇に強気の見解が確認される。これらを踏まえると、9月の会合では、異次元緩和の終了をある程度視野に入れた議論が行われたと推測される。
出典元:三井住友DSアセットマネジメント
構成/こじへい