京都の和菓子業界の新鋭ならではのチャレンジが生み出す斬新な菓子
1945年10月に創業した京菓子處 鼓月が今夏発売した「摘み果 白桃(つみかはくとう)」は、他社にはない「既成概念にとらわれず、チャレンジする」という姿勢とアイデンティティが生んだ商品。見た目・味ともに本物の白桃のような焼きまんじゅうだ。
この果実を包んだ饅頭は「摘み果シリーズ」として檸檬から始まり、林檎、葡萄、バナナと続けて発売されできた経緯があり、白桃は第五弾となる。
斬新な菓子を開発する背景について、同社の広報 鳥飼優介氏は、次のように解説する。
「鼓月は京都の和菓子業界の中では新参者のため、300年続くような和菓子屋にあるような古い伝統にとらわれず、柔軟な思考、新しい視点を取り入れる体制があります。他社では行っていないことや、少しのひと手間を加えることなどを心がけることによって、鼓月でしかできない商品が生み出されます。また、新しい挑戦をするだけでなく、お菓子について様々な角度から継続的に学び、知識と技術を高めることも重要視しています」
●「摘み果 白桃」のこだわり
「摘み果 白桃」にはどんなこだわりがあるのだろうか。
「果実饅頭の摘み果シリーズの特徴はゴロゴロの果肉感にあります。粒の大きいドライ白桃においてフレッシュな白桃の香りを表現するため、果肉をピーチリキュールに浸して香り付けし、まるで白桃を食べているかのような白桃餡に仕上げました」
手土産としての利用も想定して開発しているという。
「生の果物を使用すると持ち運びと商品の管理がむずかしく、日持ちが短くなってしまうところ、この商品ではお饅頭にすることで日持ちも長くなり、商品の管理も簡単です。このように贈り物をする方への負担を少なくできるように工夫しました」
●手土産菓子としての工夫
商品全体についても、贈答用の手土産としての工夫は欠かさない。
「京都の手土産には抹茶などご当地素材をメインにした商品もありますが、当社では手土産としての和菓子の重要な要素として季節感をとても大事にしています。手土産を贈る人の気持ちと共に日本の四季の美しさも届けることができるので、より温かみのあるものになるのではないかと考えています。
また賞味期限はできるだけ長くなるようにお作りしています。さらに多くの方にお届けできるように1箱の個数を調整したり、手土産を渡す際に一番初めに目につく外箱のデザインや包装など細かいところも大切な要素としてお作りしています」
京都の和菓子は手土産の定番ではあるが、贈る側ももらう側も飽きてしまう部分もある。新しい要素があると、トレンド感を添えてくれたり、「気の利いた」手土産を演出してくれたりすることで、選びたくなる。
※季節商品のため、2023年10月現在は「摘み果 葡萄」と「摘み果 バナナ」を販売中。