パラレルキャリア
パラレルキャリアは、キャリアを複数同時進行させる生き方だ。経営学者のピーター・ファーディナンド・ドラッカー氏によって提唱された概念とされる。
一般社団法人パラレルキャリアマネジメント協会 理事である大村信夫氏に話を聞いたところ、自身もパラレルキャリアを行っているという。どんな生活を送っているのか。
「平日の日中は会社員をしており、それ以外の平日の朝と夜や、週末などにパラレルキャリアの活動をしています。だいたい月に20~30時間ほどでしょうか。『片付けパパ』という名前で、主に講演・企業研修や、一般社団法人の理事、合同会社、NPO法人のアドバイザーなどをしています。また国家資格キャリアコンサルタントでもあるため、キャリア相談を希望される方のカウンセリングなども行っています」
パラレルキャリアで選択するキャリアには、収入は必ずしも伴う必要はないという。
「パラレルキャリアにおける収入は、あくまでも副次的なものです。もし生活費を稼ぐのが一番の目的であれば、ご自身のスキルや時間を提供することで収入を得るパートタイムやアルバイトなどの仕事はたくさんありますので、時間や条件に応じて選択すると良いと思います。ただその際にも心がけて欲しいのは、その仕事を通じて、スキルや経験を貪欲に身に付けてほしいということ。例えばその業界の慣習やオペレーションの工夫、収益構造など、そういった経営的な視点をもつことで学べることはたくさんあります。それは何らかの形で将来のキャリアに活かせることができます」
言ってみれば、「何でもあり」のパラレルキャリア。おすすめのキャリアはあるだろうか。
「せっかくなので、自分がやってみたいことをするのが良いと思います。『好きこそものの上手なれ』という言葉もありますし、あくまでも収入ではなく経験を得るんだという観点を持つことは大切だと思います。ただし、あまりにもたくさんやりすぎてオーバーワークになることだけは避けてください。本業にも支障が出たり、身体を壊したりしたら本末転倒ですから。
実は『学び』もキャリアです。例えば大学のオープン講座などに通ってみるのも良いでしょう。今はオンラインの講座もかなり増えましたので、地方在住の方や移動時間が作りにくい人でも受講しやすくなっています」
パラレルキャリアは、比較的、自由な発想でさまざまな分野にチャレンジするキャリアの築き方といえる。
セカンドキャリア、デュアルキャリア、パラレルキャリアはいずれも第二、第三のキャリアの新しい可能性が拓かれる働き方だ。自分にとって理想的なキャリアを見つけよう。
【取材協力】
田中 優美子氏
人生のリスタートを伴走するセカンドキャリア専門家
2013年より、コーチングインストラクターおよびプロコーチとして独立。 学校、自治体、企業などで講師として登壇 。2017年より、キャリアコンサルタントとしても活動。
https://coaching-lumiluno.com/
大村 信夫氏
一般社団法人パラレルキャリアマネジメント協会 理事
国家資格キャリアコンサルタント。家電メーカーに勤務しながら「片付けパパ」「パラレルキャリア研究家」として活動。モノを整理することで人間関係やキャリアなど人生全体に好循環が生まれるメソッドを開発し、講演で日本全国を東奔西走。受講者一万5千人超にも及ぶ。著書・メディア取材多数。
紹介サイト:https://an-life.jp/portfolio/10
Twitter:@katazuke88
文/石原亜香利