「AFEELA共創プログラム(仮)」とは?
同社の代表取締役社長兼COOの川西 泉氏のスピーチの中で、新しさが現われていたのは「AFEELA共創プログラム(仮)」の話だった。
「モビリティ開発環境のオープン化として、自社の知見だけに閉じることなく、社外のクリエイターやデベロッパーが、自由にAFEELAの上で動作するアプリケーションやサービスを開発できる環境を提供し、クリエイティビティを表現・共創できる場をデジタル上で提供する」
ただ、それらがどんなアプリケーションやサービスになり、現在、実現されていないのかなどはよくわからなかった。また、社外のクリエイターやデベロッパーと、サプライヤーとどう違うのか?川西氏は、ナビゲーションについて「次元を変えていきたい」とも語っていた。「付加的要素を増やしていき、既存の地図会社のマップを使うのではなく、AFEELAのコミュニティの中で広げられればいい」と。
その意欲は素晴らしいのだが、自動化のレベルを上げていくのに高精度デジタルマップは必須のものとなり、各社、鎬を削っているところだ。生産の規模に関する質問が参加者から出た。それに対して、川西氏の回答の要諦は次のようなものだった。
「たくさんの数を造って、コストダウンを図ることは考えていない。ハイスペックを志向するガジェット的なものなのになる」
つまり、製造数は少なく、高い価格が付けられるというわけだ。ソニーとホンダというビッグネーム同志が組んだベンチャー企業の最初の製品が少量生産の高価格車になるという点は十分に新しい。
だが、「AFEELA」コンセプトには掴みどころも新鮮味もなく、内容も具体性に乏しかった。プロトタイプだから、現段階で明らかにできることも限られているのだろう。しかし、2025年前半に先行受注を開始し、北米のホンダの工場で生産し、同年中に発売を予定している。デリバリーは2026年春に北米から開始され、日本へは2026年中と予定されているから、そんなに先の話ではない。どんなクルマになるのか注目し続けていきたい。
■関連情報
https://www.shm-afeela.com/ja/
取材・文/金子浩久(モータージャーナリスト)