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消防署で起きた暴行パワハラ事件、懲戒免職処分は妥当か?

2023.11.03

こんにちは。

弁護士の林 孝匡です。

宇宙イチ分かりやすい法律解説を目指しています。

今回は、消防署で起きた暴行パワハラ事件を解説します。

先輩2名が後輩の首に血圧計を巻いて作動させたんです。

裁判所は「殺人未遂に問疑されても無理からぬ危険かつ悪質な行為」と断罪しています。そして「先輩2名の免職処分はOK」と判断しました。(茨木市・茨木市消防長事件:大阪地裁 R5.3.16)

※ 争いを一部抜粋して簡略化
※ 判決の本質を損なわないよう一部フランクな会話に変換

登場人物

▼ Xさん(パワハラ被害者)

・消防士(24歳くらい)

▼ 懲戒免職された人

・Aさん
 消防副士長(33歳くらい)

・Bさん
 消防士長(34歳くらい)

どんな事件か

Xさんは普段からイジメられていました。

▼ このようなイジメ

・別の隊員がXさんの頭を殴る蹴る
・ベンチプレスの重りを重くしてXさんが苦しむ様子を笑う
・AさんがXさんの全身に洗濯バサミをつける
・AさんがXさんの上腕をつねってアザをつける
・BさんはXさんに醤油、一味唐辛子などを飲ませる
(質問に回答できないときの罰として)

▼ 首に血圧計を巻いて作動させる

とどめは以下のイジメです。

深夜、救急車の中で殺実未遂レベルの悪ふざけが行われました。救急要請をうけて救急車で搬送したあとにガソリンスタンドに立ち寄ったときのことです。

Bさんが思い立ち、Xさんの首に血圧計を巻いて作動させる悪ふざけを考えたのです。Xさんは「こわいです」「やりたくないです」と嫌がったのですが、Bさんは「ええからはよせえ」と実行に移しました。が、Xさんは恐怖のあまり首からとりました。

するとBさんは「オマエ、何はずしてんねん。取れとか言ってないやろ。血圧測れるまで外すな」と命令しました。Xさんは「かなり締まるんで怖いです」「もうやりたくないです」とお願いしましたが、Bさんは「血圧とれるまでガマンや」と再び命令しました。

Xさんは首が締まることの恐怖からゆるめに巻いたのですが、それに気づいたBさんは「もっと強く巻け」と命令。

そして、AさんまたはBさんが血圧計のボタンを押しました。Xさんは次第に苦しくなり、視界が暗くなっていく感覚を覚えました。AさんはXさんの状況を見て血圧計を首から外しましたが、その時のXさんは意識がもうろうとしていて、よだれも出ているような状態で、Aさんは「かなり危険な状態だ」と感じていました。

※編集部注…危険なので絶対にマネしないでください

▼ 消防署に帰る

消防署に帰ったときには、Xさんの顔面と眼球に点状出血が生じていました。Xさんは、AさんとBさんに「病院に行きたい」と伝えましたが、AさんBさんは朝まで病院に行かせませんでした。自分たちが処分されることをビビっていたからです。

▼ 上司がクソ

Xさんの症状が改善しなかったので、ついにBさんは上司に報告しました。この上司がクソです。上司はXさんの顔を見ておどろき「これはアカンな。何したんや」「オマエ、腹くくれ」「正直、オレはBが可愛いし、Bが大切や「これが明るみになったらBは救命士剥奪やし、仕事も辞めなアカン」「オマエもBのこと好きやろ?」とモミ消しにかかりました。

そして最終的に「上には報告しないことにするが、それでいいか?」と聞きました。Xさんは不本意ではあったものの、早く受診したいという思いから同意しました。

▼ 懲戒免職

しかし、事件が発覚して2名は懲戒免職処分を受けました。その後、2名が処分の取り消しを訴えて提訴。

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